国債買い入れ、出口進める中で減額が適当と考えている-植田日銀総裁
(ブルームバーグ): 日本銀行の植田和男総裁は6日、金融政策の正常化を進めていく際には国債買い入れの減額が適当との認識を改めて示した。参院財政金融委員会で答弁した。
植田総裁は3月の金融政策の枠組み変更後の金融市場の状況を確認しているとした上で、「今後大規模な金融緩和からの出口を進めていく中で、減額することが適当であるというふうに考えている」と述べた。
複数の関係者によると、日銀は早ければ来週の金融政策決定会合で、長期国債の買い入れの減額についてより具体的な方針を示すことの是非を含めて議論する可能性が大きい。月間6兆円程度の買い入れを継続するとしている現在の長期国債の買い入れについて、減額が適切な市場環境かどうかを慎重に見極める。
4月会合では、国債購入も含めて3月会合で決めた方針の継続を確認。同会合の声明文では、「これまでとおおむね同程度の金額を継続する」とし、注記では足元の購入額は「6兆円程度」としていた。
中村豊明審議委員は同日、国債買い入れについて「経済の回復状況に応じて出口に向けて時間をかけて減額を進めていくことが適当だ」と指摘。日本経済が強い状況にはない中で、「どのように経済が改善していくかを見ながら決めていく。私自身はニュートラルだ」と述べた。
来週の日銀会合、利上げの話題出ると思うが「まだ早い」-中村委員
2%目標達成には少し距離
植田総裁は日銀が掲げる2%の物価目標の実現に向けて「インフレ予想も2%近辺のところで安定的に推移するということがまず必要」と指摘。その上で、さまざまなインフレ予想の関連指標が最近になって少し上昇してきているが、「まだ2%には達していないと、少し距離があるという動きになっている」と語った。
植田総裁の発言を受け、為替相場は上下に振れる動きとなっている。2%目標の達成を巡る発言が利上げに慎重と受け取られ、一時1ドル=155円90銭台まで円は売り戻されたが、国債買い入れ減額についての発言で円売り戻しは一服。その後、再び円売りが進み、156円台前半で推移している。