「自分がほかの業界の仕事をしていることが想像できない」

――役者になる道を選び歩んできたことを、今振り返ってみてどう思いますか。 「どうなんでしょう。でも、その選択をして今があるので、間違ってはいなかったし、やってきてよかったなと思っています。それに、自分がほかの業界の仕事をしていることが想像できないんですよ。なので、どこかのタイミングで役者を辞めようと思ったとしても、多分映像の世界のどこかにはいたんだろうなと思います。 　現場全体が好きだったので、もし芝居でうまくいかなかったら、別にそこにこだわり続けるつもりもあまりなくて。なので、早い段階でこの仕事と出会って、今も何とか仕事が続けられているのは本当によかったなと思います」 「穏やかな人」。それが、染谷さんのインタビュー中に筆者が感じたことだ。一筋縄ではいかない役柄を演じる印象が強いが、染谷さん自身は語り口も穏やかで、時折、優しい笑顔も見せてくれた。言葉を選びながらも、自身の思いや考えをまっすぐに伝えてくれる姿は穏やかで、心地のいい空気が流れていた。 取材・文/根津香菜子 ヘアメイク/光野ひとみ、スタイリング/林道雄 そめたに・しょうた 1992年9月3日、東京都生まれ。9歳のときに『STACY』で映画デビューし、数々の作品に出演。2011年には映画『ヒミズ』で第68回ヴェネツィア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞（新人俳優賞）を受賞。近年の主な出演作品にドラマ『風間公親-教場0-』、『CODE―願いの代償―』、映画『陰陽師0』、『違国日記』、『若き見知らぬ者たち』などがあるほか、待機作に、映画『はたらく細胞』（12月13日）、『聖☆おにいさん THE MOVIE ～ホーリーメンVS悪魔軍団～』（12月20日）が控える。 根津香菜子