女性にとっての2024年は、どんな年だったのか?
だが、結局のところ2024年は、男女のイデオロギー(価値観)がまったく異なっていることが、世界中で明らかになった一年だった。 イギリスでは調査の結果、16~29歳の男性の5人に1人が、性犯罪と人身売買の疑いで逮捕されたアンドリュー・テイト容疑者、自称「有害な男性性の王(king of toxic masculinity)」に好意的であることがわかっている。
医療においても、女性は差別に苦しんでいる。出産によるトラウマについて、2024年5月に発表された画期的な報告書は、イギリスの出産看護を巡る劣悪な状況がまん延していること、さらにそれが許容され、常態化していることを示している。 医療における女性差別は、女性と少女たちが長年にわたって「不要な痛み」に耐えなければならない状況を生み出しているとの報告もある。
子宮内膜症や子宮腺筋症などの慢性疾患に対する理解は進んでいるものの、診断が下されるまでの期間は、さらに長くなっている。婦人科の診察を受けるための順番待ちリストの長さは、2020年以降、2倍になっているとされる。 そして、イングランドとウェールズでは中絶率が上昇し、出生率が低下している(中絶は、経済的な問題が理由のことも多い)。
打ちのめされるほどの後退に直面しても続く抵抗は、女性たちが逆風に立ち向かっていくことを証明している
ただ、こうした状況にあっても、希望はある。少なくとも私たちは、こうした問題について議論するようになっている。調査結果や報告書は腹が立つほどの痛みを感じるようなものだが、それらは多くの場合、変化を生むきっかけとなる。 イギリスでは、女性が子どもを産もうと考えるようになるには何が必要なのかについての点についての議論も始まっている。育児に関する父親の権利を巡るひどい状況の改善なのか、あるいは子育てを女性の負担にしている柔軟性のない職場環境の改革なのか、といったことが話し合われている。
女性に対する暴力が世界的に増加するなか、アフガニスタンを統治する武装組織タリバンは、これまでで最も厳格な措置を導入し、女性たちが「声を出す」ことを非合法化した(話すこと、祈りの言葉を言うこと、歌うことも違法とされた)。それでも女性たちは、SNSを通じた抗議活動を続け、国際サミットへの出席を通じて、声を上げている。 2024年を振り返るとき、フェミニストの視点から“悲惨な光景”以上のものを見出すのは難しい。10年以内に女性への暴力を半減させると約束したイギリスの新政権は、そのために必要な特別予算を組むことができなかった。男女の賃金格差は、およそ10年ぶりに拡大している。
だが、世界中の女性たちは、打ちのめされるほどの後退に直面しても、大小さまざまな規模で、抵抗を続けている。それは、女性たちが逆風に立ち向かい、再び反撃に出ることを証明している。 最も飛躍的な前進は、最も後退した瞬間の後に実現される。それは、歴史をみれば明らかなこと。2024年の状況が示すのは、それがまさに、2025年に起きるということではないだろうか。 From COSMOPOLITAN UK