29年ぶりの選手権で8強入りした堀越。夢の膨らむ一歩を刻んだ「ボトムアップ方式」の原点は広島に【加部究のフットボール見聞録】
ボールを持てば無敵の天才だった
堀越をまとめた主将の日野(10番)。青森山田に0-4で敗れてしまったが、随所に創造性あるテクニカルなプレーを披露していた。写真:塚本凜平
堀越高の佐藤実監督には、心に深く刻まれた言葉がある。 「選手が楽しいと感じなければ、次の世代には何も残らない」 長野エルザサッカークラブ(現AC長野パルセイロ)で指導をしていた時に、当時のバドゥ監督が口にしていた。バドゥ監督と言えば、日本代表が初めてワールドカップ出場を果たしたフランス大会最終予選のプレーオフ(1997年)で、対戦相手のイランを指揮していた人である。 「実際、選手たちを競わせゲーム性を取り入れながら、物すごく楽しくやらせることに主眼を置いたトレーニングを実践していました」 そう振り返る佐藤は、堀越へやってきてしばらくすると、選手が主体的に部活動を行なうボトムアップ方式で全国制覇を遂げた広島観音高の記事を目にする。衝撃が走った。 「選手たちの主体性を伸ばして、しかも結果を乗せてくる。良いところ取りじゃないか」 早速安芸南高に転任し
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