座席指定を有料化した航空会社はこの5年間で莫大な収益増を生んでいた!
座席指定や機内持ち込み手荷物、Wi-Fiなどにも追加料金…
飛行機の座席指定やスーツケースの持ち込み、そのほかのサービスに追加料金を課す格安航空会社が、大幅に収益を増加させていることが明らかになった。 【画像】座席指定や機内持ち込み手荷物、機内での水、Wi-Fiなどにも追加料金… 11月に米国で発表された新たな報告書によると、大手航空会社5社が、2018~2023年の間にこの追加料金システムにより、座席料金だけで124億ドル(約1兆8568億円)もの収益をあげていたという。 米誌「ファストカンパニー」によれば、この追加料金の導入は、2006年に格安航空会社のスピリット航空が航空券の価格を引き下げ、座席指定や受託手荷物などの“サービス”に追加料金を課したことに遡る。 その後、2008年のリーマンショックによる不況が始まった頃から、他の航空会社もこの手法を広く採用するようになった。 たとえば、アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空は、2008年に受託手荷物ひとつに対し、約15ドル(約2240円)を課金し始めた。 以来、この価格は現在までに35~40ドル(約5240~5990円)に上昇しており、座席指定やWi-Fiなどにも追加料金を課すようになった。 このように、顧客に商品(航空券)とサービスを別々に請求する「アンバンドリング(サービスの分離)」と呼ばれる手法により、空の旅はより複雑になったと報告書は述べている。 アンバンドリングは、各顧客の予算にあった選択肢を提供する手段として宣伝されている一方で、特に最もリーズナブルな基本エコノミー料金を利用する旅行者は、多数の追加料金を検討する必要が生じている。 さらに、「航空会社のウェブサイトやモバイルアプリケーションは、座席指定に費用がかかるなどの重要な情報を、予約プロセスの後の段階で隠している」ことも指摘されている。
人々を混乱させ、より高い費用を支払わせている?
アンバンドリングは理論的には、リーズナブルな旅行を希望する人々にとって「お財布に優しいもの」として始まった。 しかし、現在はそういった顧客をただただ混乱させ、より高い費用を支払わせる構造として機能していることを、同報告書の調査員らは発見した。しかも「それらを回避する方法がほとんどない」という。 さらに、調査員らによれば、この追加料金は「対象となるサービスを提供する実際のコストとは無関係」である。つまり、「意味のある制限」がなければ、これらのサービスにかかる「不明瞭な料金」は上昇するばかりであると示唆している。 この報告書は、2024年に発表された料金開示に関する運輸省の新たな規則に従ったもので、上院議会が航空会社に対し、価格設定に関するより詳細なデータの提供と料金開示の強化を要求している。 同時に、潜在的な濫用と航空会社の追加料金の慣行が規定に準拠しているかどうかについてさらなる調査を求めている。 調査対象となった航空会社は、アメリカン、デルタ、ユナイテッド、スピリット、フロンティアの5社で、これらの幹部らは12月4日の上院常設小委員会で座席料金について証言するよう召喚されている。
COURRiER Japon