じつは「お役所流」で文章のクオリティは確実に上がる…「わかりやすく書く」ための「13のチェックリスト」
「誰が」「いつ」「どこで」の順で書く
(4) 基本的な語順を踏まえて書く 公用文の解説では、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」という順で書くと読み取りやすい文になると説明されています。 ただ、僕の感覚では、主語にあたる「誰が」は最初に持ってきたほうが行動の主体がわかりやすくなると思います。主語の後、「いつ」「どこで」「誰と」「何を」「どうした」の順番で並べるとよいでしょう。 【例】 渋谷で昨日、山田さんは映画を友人と観ました。 ↓ 山田さんは、昨日渋谷で友人と映画を観ました。 (5) 主語と述語の関係がわかるようにする 「主語(誰が)」と「述語(どうした)」が曖昧な文章は理解しづらくなります。日本語では主語が省略されることがありますが、誤解を避ける意味でも主語を明確にしておきましょう。 【例】 新製品の発表会で好評を博し、売り上げが急増した。 ↓ H社が新製品の発表会を行ったところ、好評を博し、売り上げが急増した。 (6) 接続助詞や中止法を多用しない 公用文では、接続助詞の「が」や中止法(文を切らずに続ける方法)を多用することを避けます。 【例】 当社では四半期計画が立てられたが、これに対して見積もりが甘いとの指摘があったが、役員の多くが差し戻すべきとの意見を出した。 ↓ 当社の四半期計画が立てられた。しかし、これに対して見積もりが甘いとの指摘があり、役員の多くから差し戻すべきとの意見が出た。 (7) 同じ助詞を連続して使わない 「の」「に」「も」「て」などの助詞が連続すると、稚拙な印象を与えるおそれがあります。 【例】 今年の山梨のぶどうのできばえは…… ↓ 今年、山梨産ぶどうのできばえは……
「受身形」「二重否定」をむやみに使わない
(8) 修飾語は長いものから示す 複数の修飾語がひとつの言葉に係るときは、長い修飾語から示したほうが理解しやすくなります。 【例】 彼は、古い友人が経営するカフェで、コーヒーを飲むのが好きです。 ↓ 彼は、友人が経営する古いカフェで、コーヒーを飲むのが好きです。 (9) 受身形をむやみに使わない 主語が曖昧な受け身形の文体は避けるのが基本です。受け身形で用いられる「れる」「られる」は、「~できる」を意味したり、尊敬を表したりするので、読みにくくなってしまいます。ただし、「法律が制定された」のように、そもそも主語を示す必要がない場合は、受け身形を使ったほうがいいでしょう。 【例】 社長は、書類を渡されました。 ↓ 佐藤さんが、社長に書類を渡しました。 (10) 二重否定はどうしても必要なとき以外には使わない 「~ではないことはない」といった二重否定は、僕もつい使ってしまうのですが、気づいたら書き換えています。二重否定は否定しているのか、肯定しているのかわかりにくくなるからです。 【例】 彼はその提案を受け入れないことはないだろう。 ↓ 彼はその提案を受け入れるだろう。 (11) 係る語とそれを受ける語、指示語と指示される語は近くに置く 「主語と述語」「修飾語と被修飾語」などは、文中で近くに置いたほうが理解しやすくなります。 【例】 当社は新サービスを、新しい市場を開拓すべく、先端技術を用いた機能を搭載して、発表した。 ↓ 当社は、新しい市場を開拓すべく、新サービスを発表した。このサービスは先端技術を用いた機能を搭載している。