ひょうご本大賞に「あの日、小林書店で。」神戸で記念イベント 著者の川上徹也さん「いろんな書店のぞいて」
兵庫県内の幅広い世代に読んでほしい本を選ぶ「2024ひょうご本大賞」に「あの日、小林書店で。」(PHP文庫)が選ばれ、表彰式と著者の川上徹也さんの記念トークショーが、神戸市中央区のホテルクラウンパレス神戸で開かれた。物語の舞台になった尼崎市の小林書店元店主、小林由美子さん(75)も駆けつけて祝った。 【写真】「あの日、小林書店で。」表紙 物語は、小林書店を舞台に、店主との交流を通して成長していく新社会人の姿が描かれている。店主の一人語りの部分は、川上さんが小林さんから直接聞いたエピソードが基になっている。2020年に出版された「仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ」を改題して加筆、修正するなどし、今年10月に文庫化された。 表彰式の後のトークショーでは、川上さんと小林さんが登壇。川上さんが最初に小林書店を訪れてから8年かけて本を完成させたことに触れ、小林さんは「主人の次に私のことを分かっているのは川上先生。自分で気が付かないことも分かってくださった」と振り返った。 「コバショ」の愛称で親しまれた小林書店は、今年5月に惜しまれつつ閉店したが、多くの人の心をひきつけてきた小林さんのしゃべりは健在で、川上さんとの掛け合いで笑いを取りながら、閉店時の思いや中学生らとの交流など、心温まるエピソードを紹介。「私は尼崎弁しかしゃべれませんけど、人間関係はしゃべってこそ」と語った。 川上さんは「この本をきっかけに、改めていろんな書店をのぞいていただければ」と呼びかけた。 同賞は22年に創設され、今年で3回目。事務局を務める神戸新聞ブッククラブ(KBC)に加盟する県内書店などが地域ゆかりのお薦め本を選び、投票で大賞を決めている。(高田康夫)