77歳、3世帯分の食事を作りながら磨いた「料理のコツ」。坂井より子さんが教える、ふっくらと煮あがる「さばの味噌煮」レシピ
近年、共働き世帯が増加する一方で、専業主婦世帯は減少していることが、総務省が実施する「労働力調査」からも読み取れます。そのようななか、専業主婦歴50年、神奈川県葉山町で娘・息子家族と3世帯7人で暮らす坂井より子さんの、日々の積み重ねから生まれる暮らしの知恵はメディアでも話題に。自宅で料理教室を行っていたこともある坂井さんは、「レシピは人から人へ受け継がれていくものだと思います」と語ります。 【写真】さばの味噌煮に合わせるごぼうの下準備。かたいごぼうは、やわらかくゆでてから「たたきごぼう」にすると、断面からよく味がしみ込む * * * * * * * ◆次世代に残したいふだんのレシピ 子育てが一段落した40代後半から15年ほど、自宅で料理教室をしていました。 きっかけは、お友達と箱根に遊びに行ったときのこと。 帰りの車の中で、「今日の夕飯、何にしよう」って皆が言い始めたんです。 私は、出かける前に献立も決めて、下ごしらえも済ませているので、「こうしておくとラクよ」と手順のコツなんかを話したことで、「お料理教えて!」という流れになったのです。 口コミで広がり、いっときは全部で50人くらいの生徒さんがいましたね。 1組4~5人で週に2~3回は開いていたんじゃないかしら。 お料理だけでなく、段取りや心持ちの話もよくしていたと思います。
◆レシピは人から人へ 写真付きのレシピカードも作りましたが、私のレシピは詳しい説明が書いていないのです。 工程はなるべくシンプルにして、実演している様子を見ながら生徒さん自身が書き入れて完成してもらうスタイル。 教わった料理をそのまま作るのではなく、自分なりに変えていってほしいという思いがあったからです。 教えていたレシピは、ふだん私が家族のために作っていたお料理そのままです。 ですから、特別なものではなく、まさに家庭の料理。 そしてそれらのレシピの元をたどると、私が若いころにお料理の先生方から教わったレシピであったり。 それを、自分の作りやすいように、そして家族の好みに合わせて変化させていったものなのです。 このように、レシピは人から人へ受け継がれていくものだと思います。 私ももう77歳。 これまでいろいろな方に教わってきたことを、今度は次の世代の方々に伝えていけたら本望です。