子どもの「見えているよ」は安心できない!幼児の近視や弱視を防ぐには【眼科専門医が解説】
そこで、日本眼科医会は子どもに機械の画面を短時間見つめてもらうだけで、弱視の原因となる強い近視や遠視、乱視の有無や、斜視(目の位置がずれている状態)を検出する『屈折検査』の導入を推進。その結果、2023年度には8割を超える自治体が3歳児健診で屈折検査を行うようになり、弱視の発見率は2~3%まで上昇したとの報告もあります。 「しかし、要精密検査になっても、4分の1の子どもは精密検査を受けていないのが現状です。ふだんの子どもの様子に変化がないと、『もう少し大きくなってからでもいいのでは』と、検査に行くことがおろそかになるケースも多いのですが、要精密検査になったら、必ず受診していただきたいです」
3歳児健診で見落とされた弱視を、6歳の就学前健診までにキャッチアップできる重要な機会が園での視力検査ですが、日本眼科医会の調査によると、未就学児の視力検査に必要性を感じていない園も多く、実施率は上がっていません。では、子どもの弱視を見落とさないために、家庭でできることはあるのでしょうか。 「片目の弱視は外から見てもお子さんの様子でもわからないことが多く、検査しないと見つけるのは難しいところです。少しでもお子さんの目の様子や、ものを見る様子に気を配ってあげてください。
具体的には黒目の中心部が濁っていないか、また、過剰にまぶしがる、片目だけつぶりながら見る、首をかしげながら見るなどの様子があれば、眼科を受診してください」
■弱視なら保育園や幼稚園でも「メガネは外さないで」 弱視、近視ともにメガネを使うことになりますが、小さな子どもの使用にあたって、どんなことに注意すればよいでしょうか。 「最近は丈夫な子ども用メガネや、ズレ防止の固定バンドなどのアイテムも作られているので、安心して使っていただければと思います。
保育園や幼稚園のなかには、『メガネは危険だから、園では外して』という園もあるようですが、とくに弱視の治療では、メガネを決められた時間、かけつづけることが必要です。眼科医と相談しながら、指示されたかけ方を守ってください」 子どものコンタクトレンズ使用については、どうでしょうか。 「コンタクトレンズは、正しい管理が必要とされる高度医療機器なので、自分で正しく管理できるようになるまでお勧めしません。個人的には、正しくケアできるのは中学生以降ではないかと思います。
最近は、2週間使いきりのコンタクトレンズがリーズナブルな価格でよく売れていますが、2週間以上使いつづけて目に炎症や感染が起きる人が多いです。目の健康のためにも、コンタクトを使い始めるのは、お子さんが自分で正しく管理できるようになってからにしましょう」 PROFILE 近藤永子さん 眼科三宅病院副院長。日本眼科医会理事。愛知県眼科医会理事。 取材・文/笠井ゆかり
笠井ゆかり