子どもの「見えているよ」は安心できない!幼児の近視や弱視を防ぐには【眼科専門医が解説】
■メガネやコンタクトレンズをつけても弱視は「一生、視界がぼやける」 子どもの目を守るため、近視の幼少化や弱視見直しを防ぐことに関心が高まっています。幼児の視力検査については、平成24年度の保育所での実施率は34.7%、令和2年度は30.5%と低迷している状況です。しかし、幼児の視力検査は「弱視」の見落としを減らすためにとても重要だと近藤医師は言います。
「弱視とは、メガネやコンタクトレンズをしても視力が1.0に満たない状態のことで、近視などで裸眼視力が悪い状態とはまったく異なります。 子どもの目は、赤ちゃんのときはぼやけて見えていますが、視機能は3歳ころまでに急速に発達し、6歳ころには視力1.0程度に。その後もゆるやかに成長を続け、8歳ころには大人と同じ程度の機能を得ます。 しかし、視力が発達する幼児期に先天性の白内障や斜視・遠視などで鮮明にものを見る経験が積めない場合、脳の『見る機能』の発達が妨げられて弱視になってしまうのです」
弱視は、治療や矯正はできないのでしょうか。 「弱視は、3歳ころから治療を開始すれば、小学校入学までに改善します。しかし、8歳を過ぎると治療そのものが難しくなってしまいます。 近視とは異なり、弱視は適切な時期に治療をしなければ、メガネやコンタクトレンズを使っても一生ぼやけた視界のまま過ごすことになるため、早期発見・治療が大切です。6歳までに視力1.0を育もうと願いをこめて、昨年より6月10日は『こどもの目の日』として記念日制定されました。ぜひ覚えてくださいね」
■3歳児健診で「要精密検査」になったら必ず受診を 弱視を見つける検査として、自治体で行われる3歳児健診での視力検査が挙げられますが、近藤医師は、幼児の視力検査には特有の難しさがあるといいます。 「これまで3歳児健診の多くは、家庭での視力検査と問診が主流で、3歳だと視界がぼやけていても『見えてるよ』と答える子もいます。弱視は50人に1人と言われるなか、3歳児検診で発見できる弱視の子どもは全体の1%に満たず、見落とされてしまう子どももいました」