就活生の78%が「パーパス重視」、給与重視はわずか パーパスのない企業は、Z世代を採用できない時代に
◆パーパスでつながる跡継ぎのコミュニティをつくりたい
――中村さんは、Z世代から跡継ぎを創出する取り組みも実践していますね。 親や親族が事業を営んでいる高校生や大学生は多いと思います。 継ぐか継がないかは別にして、高校生や大学生に一度、ファミリービジネスを見てもらいたい思いがあります。 中小企業庁が後継者育成を目的に催す「アトツギ甲子園」に、最近は高校生がエントリーするようになってきました。 教育機関がもっと本気になってサポートすれば、高校生らのエントリーがより加速するでしょう。 若い人たちは、少なからず家業に関心を持っています。 興味関心を事業承継につなげるための仕組みができると、後継者不足問題の解消につながると思います。 ――後継者不足を解消するためにもパーパスは重要でしょうか。 事業承継を考えたときに、大切なのはいかに同志をつくるかです。 同じ思いの人たちが、業種を超えた仲間をつくり、コミュニティが生まれるのが理想です。 そこで必要になるのも、パーパスです。 コミュニティの中でお互いにパーパスを発表し合い、掛け合わせていけば、次のステップへと発展すると思います。 自分たちが持つ技術や経営資源を出し合って、共創プロジェクトが生まれるでしょう。 スタートアップではそうした活動が増えていますが、跡継ぎに関していうと、プロジェクトを生み出すようなコミュニティがまだまだ少ない。 そうした「場」を増やしていきたいですね。
■プロフィール
やまぐち総合研究所有限会社 取締役所長 中村伸一 1965年、山口県山口市に生まれる。九州産業大学卒業後、中国松下システム(株)に入社。友人3名とIT関連事業を行うキャスト(株)を設立。取締役として2年、代表取締役を5年間つとめる。2005年、やまぐち総合研究所有限会社を設立。企業の事業づくりを支援する達人として、コラボレーションを事業創造の中心に考え、「ワクワクコラボレーション」を商標登録して「ワクワク」する事業創造の支援をしている。