国際女性デーも韓国ドラマ!理不尽と闘うヒロインがカッコいい、おすすめ5作
『なぜオ・スジェなのか』
韓国最大の法律事務所「TKローファーム」のスジェ(ソ・ヒョンジン『浪漫ドクター キム・サブ』)は、手段を選ばない冷徹さで勝訴をもぎ取る凄腕弁護士。会長(ホ・ジノ『キングダム』)の右腕として、事務所の実質的トップ就任も内定していたが、あるレイプ事件を巡る醜聞に巻き込まれる。ロースクールの教授職に左遷されたスジェは、劣等生グループたちとともにレイプ事件の真相を追い始め……。 依頼人の国会議員によるレイプ被害者を脅迫し、男だらけの会議室で「このなかで私以上に稼いでる弁護士がいんのか? 私こそがTKなんだよ!」とぶちかます第一話、その野心ギラギラぶりに腰が引けますが、物語が進むに連れて「スジェがなぜそういう人間になったのか」が見えてきます。 片親、貧困という家庭に育ち高卒のスジェは、弁護士になったものの、学歴差別、性差別、階級差別などに踏みつけにされ、さらに「ある酷い経験」にも耐え、てっぺんとるために泥水がぶがぶ飲みながら、結局のところ使い捨てにされようとしている人。そういう中で始まった反撃が、男社会バリバリの巨大ローファームの暗部を暴いてゆきます。
ロースクールの劣等生グループには、まだ新人弁護士だった頃にスジェに助けられた学生(ファン・イニョプ『女神降臨』)がおり、実はこの人もある未解決事件を追っています。ふたりの復讐が交錯していくと同時に、恋が発展していくのも韓国ドラマらしいお楽しみです。
『恋の始まりは出馬から』
曲がったことが見過ごせないがゆえに失職したセラ(ナナ『マスクガール』)は、ようやく手にした区役所のアルバイトで区議会の機能停止ぶりを目の当たりに。折しも始まった補欠選挙に立候補しようと決意した彼女は、紆余曲折の末にどうにか区議会議員になるも、「ポッと出の新人女性議員」を受け入れる議員は誰一人おらず……。 日本でも最も女性進出が遅れている政治の場においては、日々こんな事が起こっているんじゃないかと思わせる作品。セラは政治家としては素人なのですが、自分が住む地域で起きていることーー例えばどんな場所で交通事故が多発しているか、どんな場所に電灯が必要か、どんな場所でどんなトラブルが起きているかなどをメモした「請願手帳」を持ち歩き、区役所の窓口に「火食い虫」というハンドルネームで逐一請願してきた人物。 ドラマの中には「地方自治は、政党の理念より住民の利益」という言葉が登場するのですが、彼女のような生活者の視点こそが地方自治には必要であると実感させられると同時に、なぜそうした場から女性が排除されがちなのか? 女性こそが必要なのでは? と気付かされます。猪突猛進な正義感で痛い目を見ながらも政治家として成長し、あることを成し遂げるラストには、あらゆる女性が「こういう人にこそ政治家になって欲しい」と思えるに違いありません。 『グローリー 輝ける復讐』の悪役イケメン、パク・ソンフンが、そんな彼女を支える区役所職員ゴンミョン役をめちゃめちゃ可愛く演じているのも必見です。昨年大ヒットした『クイーンメーカー』にハマった人にも、ぜひ見てもらいたい作品です。
渥美 志保