パナマ文書で注目 「オフショア取引」と「タックスヘイブン」とは?
各国が連携してオフショア取引対策の流れ
――パナマ文書のリークは、中長期的に見て、世界経済に何らかの影響をあたえるのか? 「あると思います。オフショア取引、とりわけ租税逃れ的なスキームというのはこれから減っていくと思われます。オフショア取引そのものがなくなるとは思えませんが、取引数がだんだん減ってくるのではないでしょうか。また、各国が厳しい財政状況に直面しているなか、(パナマ文書の公開が引き金となって)各国が租税条約の見直しを連携して行うようになり、租税逃れと思われるオフショア取引がターゲットになりやすくなると思います」 誤解を与えないために言及しておくと、タックスヘイブンやオフショア取引そのものが全て脱税絡みというわけではなく、法的には問題のない節税対策などで用いられるケースがほとんどです。しかし、脱税に加えて、犯罪組織やテロ組織がマネーロンダリングに用いるケースも報告されており、問題がゼロというわけではないのです。 世界中のタックスヘイブンが実際にどのくらいの規模なのか、はっきりとした数字は出ていません。 秘匿性なども存在するため、細かいデータ収集や分析を行うのが非常に困難なためです。カリフォルニア大学バークレー校のガブリエル・ザックマン准教授(経済学)は、昨年上梓した『国家の隠された資産』の中で、世界中のタックスヘイブンで扱われている資産の総額は約7兆6000億ドルに達すると指摘。この数字が正しければ、世界に存在する純資産の約8パーセントに達します。パナマ文書によって、これまで知りえなかった情報がどこまで白日の下にさらされるのでしょうか? 「解読」にはまだ時間がかかりそうです。 (ジャーナリスト・仲野博文)