パナマ文書で注目 「オフショア取引」と「タックスヘイブン」とは?
パナマにオフショアを出すことは珍しい?
――世界中のタックスヘイブンをみても、地域や国によって、銀行や信託など、得意分野があることが分かった。これはカリブ海諸国に限った話ではないのか? 「得意分野という表現が適切なのかはわかりませんが、プライベート・エクイティ・ファンド(補足:投資家から集めた資金を事業会社や金融機関に投資し、投資先の経営にも参加し、企業価値を高めて最終的には売却後の内部収益率を獲得することを目的としたファンド)では、ヴァージン諸島やケイマン諸島はよく利用していますね。ヘッジファンドはイギリスのマン島を利用したりするイメージはあります。オフショア法人設立でパナマを用いることは、私の周囲ではほとんど聞いたことがなく(補足:モサック・フォンセカはパナマの法律事務所だが、ほとんどのオフショア法人設立には英領ヴァージン諸島やケイマン諸島が使われていた)、今回のニュースでパナマにもオフショア法人を出す人がいたことを知って驚いたくらいです。パナマでオフショア法人を出すメリットはあまりないような気がします」 ――タックスヘイブンやオフショア法人の設立で有名な国では、それらのビジネスによって、現地の経済や雇用は潤うのか? 「法人登記だけではなく、ノミニーの採用でもかなりのお金がタックスヘイブンには落ちていて、これが現地の経済を支えていることは間違いないでしょう。ノミニーの中にはアメリカのロースクールなどを卒業したものの、アメリカでうまい具合に仕事が見つからずに母国に帰ってきた人もいます。そういった人たちの受け皿になり、さらに現地の経済を回す原動力にもなっているのです。ノミニー制度に加えて、決算書を出す必要がなかったり、機密保持を売りにしている地域もあり、そういった場所にオフショア法人を設立しようとする企業や富裕層は多いです。しかし、各国間の租税条約が今後厳しくなる見通しで、オフショア法人を持つ企業は自国で銀行などから情報公開を求められる可能性が高くなりそうで、タックスヘイブンの今後にも不透明な部分はあります」