同性婚訴訟を巡り東京高裁が「違憲」と判断
法律上の性別が同性であるカップルの婚姻を認めない民法や戸籍法の規定は違憲だとして、各地で「結婚の自由をすべての人に」訴訟が起きている。東京高等裁判所は10月30日、「違憲」との判決を下した。賠償請求は棄却した。(オルタナ副編集長=吉田広子) 憲法24条と14条を根拠に、国の立法不作為を問う「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、2019年2月14日に始まった。札幌、東京、名古屋、大阪の裁判所で一斉に提訴された後、2019年9月に福岡、2021年3月に東京で二次訴訟が始まった。 原告団は、法律上の性別が同性であるカップルの婚姻を認めない民法や戸籍法の規定は、「婚姻の自由」を定めた憲法24条1項、「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した立法」を定める24条2項、「法の下の平等」を定める14条に違反すると訴える。形式的には、国に損害賠償を求める形だ。 東京都在住の同性カップルら7人が国に損害賠償を求めた東京一次訴訟で、東京地方裁判所は2022年11月、憲法24条2項に関して「違憲状態にある」とした。その後、東京高裁は2024年10月、「違憲」と判断した。憲法24条2項と第14条1項に違反するとした。 原告の一人である小野春さんは、同性のパートナーとともに3人の子育てをしている。小野さんは「法廷で『違憲』という言葉を聞いて、胸がいっぱいになった。自然生殖は素晴らしいことだが、多様な家族の形があることを裁判で認めてもらえたのが嬉しかった」と喜びを語る。子どもと一緒に判決を聞いたという。 小野さんは「子育てをして20年以上が経つが、法律の影響は日常生活におよぶ。法律で認められていないことで、セーフティネットもない。これまで『そういうもの』だという扱いだったが、一日も早く法律になって、みんなが幸せを受け止められる社会になってほしい」と続けた。 高裁での「違憲」判断は、札幌高等裁判所に続いて2例目となる。札幌高裁は2024年3月、「憲法24条・14条違反」との判決を下した。