母「あなたは一生歩けない」生まれた時から車いすで生活をする男性 「あのカッコいい車いすに乗りたい」ダンサーとして活躍するようになったわけとは
困ったときに「助けて」と言える社会へ
かんばらさんには2人の子どもがいます。「家族は大切な存在」と彼は語り、家族との日々をとても大切にしています。 ある日、公園で遊んでいたときのこと。遠くからこちらをじっと見てくる子どもがいて、それに気づいた娘さんがかんばらさんの後ろに隠れて「怖い...」とささやきました。 この経験から、彼は「最近は、障害は自分一人のものではなく、家族の中で一部シェアしているように感じる」と言います。 障がいを抱えて生きることは、本人だけでなく家族にも影響を与え、共に支え合いながら歩んでいるのだと気づかされた出来事でした。 かんばらさんが望む社会の姿について「困っている人に声をかけることはもちろん大切ですが、困っている側が『助けて』と気軽に言えることも重要だと思います」と話します。 きっかけは、奥さんがベビーカーと子どもを抱えてカフェを訪れたときの体験です。 そのとき、周りに人はいたものの、誰も扉を開けるのを手伝ってはくれませんでした。 奥さんからその話を聞いたかんばらさんは「お願いしてみたらいいのに」と思ったそうです。 「扉を開けてもらえませんか?と頼んでみればいい」 その経験を通して、彼は「周囲が全ての困難に気づけるわけではないからこそ、気軽に『手伝ってください』と言える社会であってほしい」と考えるようになりました。 また、かんばらさん自身も困った時に助けをもらうことがあるため、逆に困っている人を見かけたときには積極的に手を差し伸べるようにしています。 例えば、道に迷っている外国人を見かけたときなど、自分が受けたサポートを他の人に返すつもりで行動することを心がけています。 「助け合う気持ちが循環することで、もっと多くの人が気軽に助けを求められる社会になればいいですね」と、かんばらさんは優しく微笑みながら語ってくれました。
自分の表現の幅を広げていきたい
かんばらさんは「大きいステージには立たせてもらったので、これからは大きな舞台に立ちたいという気持ちは少なくて、それよりも他のジャンルのダンスに挑戦して自分の表現の幅を広げたい」と今後について話します。 たとえ下半身が不自由であっても、車いすダンサーとして大きな舞台に立ったかんばらさん。 その挑戦を見て、感動した方や力をもらった方もたくさんいるのではないでしょうか?そして何よりも、同じような障がいがある方の大きな力となるでしょう。 かんばらさんの挑戦はこれからも続きます。
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