どんな家具が「良いデザイン」といえるのか?目利きデザインジャーリストが厳選する「未来の名作家具」4選|これからの時代の物選びの基準も解説
人生に寄り添う道具として、どんなものが本当によいデザインといえるのか──。この企画では、「未来の名作」と題して、2000年以降に発表・復刻された作品に絞って目を向けることで「これからのもの選びの基準」を探ります。 【写真で見る】かっこよすぎて「これが名作か」と納得。世界的な巨匠や日本人デザイナーによるソファ、椅子、照明など デザインに精通している土田貴宏さんに、ジャーナリストの視点から4つのポイントを挙げながら語っていただきます。 まずは今回、1つ目のポイントを紹介。全4回の短期シリーズでお届けしていきます。
未来の名作の基準|ポイント① アイコニックなデザインではない「必然の形」
20世紀の名作家具がしばしばアイコニックなフォルムをしていたのに対して、未来の名作は過度に主張しない姿をしているでしょう。それらは機能や素材に対して実直で、タイムレスな要素で構成され、さまざまな住空間に無理なくなじんでいく。サイズ感も無駄がなく、ディテールまで使う人へのこまやかな配慮がなされている。 従来の名作のデザインが主に視覚に訴えたのに対し、新しい名作は体感や触感へと表現の比重を移すともいえます。長い時間にわたって人と家具がより親密にコミュニケーションするなら、それは一生を通じてかけがえのない存在になるに違いありません。
アイテム:「アレクシス シェルフ」
<デザイナー>:深澤直人 <ブランド>:アレクシス 【住空間の完璧な背景になる普通を極めたシェルフ】 深澤直人は、イギリスのジャスパー・モリソンとともにスーパーノーマルという概念を提唱。 世の中に「普通」として行き渡ったものの感受されにくい魅力に注目し、その感覚を自身のデザインの糧にしています。 このシェルフも一見、何の変哲もありません。ただし素材はすべてアルミニウムで押出成形を多用し、視覚的ノイズとなる補強材などを省いて完成度を高めています。棚板1枚あたり80kgという耐荷重を実現しながら、重量感はもちろん物質感さえ希薄なデザインです。 「アレクシス シェルフ 壁取付けタイプ」W922.5~×D332×H1175㎜~ 問い合わせ先/ALEXIS