「最近、本より動画を見てしまう」大人が、再び読書習慣をつけるためのコツは? 読書教育のプロに聞く
まずは、「かんたん」なところから読んでみましょう。とはいえ、大人の場合の「かんたん」は、文字が少ないとか、ひらがなが多いということではありません。 僕のおすすめは「短編集」です。また、好きな人のエッセイもいいですね。短い時間で読めて、なじみのある人のことばなら負担にならないと思います。また、自分で選ぶのに迷いがあるときは、書店の棚を見て「本屋大賞」を受賞している一冊を手に取るのもいいですね。そういった選び方でOKです。 そして、一日1ページ、1分でもいいのです。まずは、本を開くことを習慣づける意識をしてみましょう。そこで「おもしろい」と思えるようになったら、どんどん読めるようになってきます。 僕は、読書を「かっこいい」と思っているんです。とくに読書をする大人の姿は、本当にかっこいい。たとえば、お箸の持ち方がきれいだったり、食事の所作がきれいだったりする人は素敵ですよね。それと同じ感覚です。先ほどお話ししたように、親が本を読む姿を見て「僕も、あんなふうに本を読めるようになりたい」と感じれば、自然と子どもも本に手がのびるでしょう。すると、親もどんどん読書が楽しくなる……こんな好循環も期待できそうです。 (取材・文/三宅智佳) 〇笹沼颯太(ささぬま・そうた)/Yondemy(ヨンデミー)代表取締役。筑波大学附属駒場中学・高校時代に英語の多読塾で指導を受ける。東京大学経済学部経営学科に進み、3年生で中高時代のスキルを活かして友人3人と読書教育サービス「ヨンデミー」を設立。起業や会社の経営、営業、運営のすべてを「本から学びました」と語る25歳。著書に『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
笹沼颯太