フリマアプリで「買い物依存症」に? “勝ち組”ワーママが会社の備品を転売…、「お得!」の喜びが脳に与える影響
いまや多くの人々が便利に使っているフリマアプリ。欲しかったものをお得に買うこともできれば、使わなくなったものを売ることもできる。賢く利益を出すことも可能だが、ゲーム感覚でハマりすぎると恐ろしいことに…。そんな現代ならではの“買い物依存”を描いたのが、オムニバス漫画『満タサレズ、止メラレズ』だ。背景にあったワンオペママの苦しみ、そして「誰にでも起こり得る」その怖さを、作者の駒井千紘氏に聞いた。 【漫画】「怖すぎる!」「私もヤバイ…」勝ち組ママが会社の備品をフリマアプリで転売、その末路は? ■「20代で結婚して子どももいる勝ち組」のはずが…、ワーママの心の隙間 身近に潜むさまざまな依存症を扱ったオムニバス漫画『満タサレズ、止メラレズ』(コミックシーモア(C) 駒井千紘/ソルマーレ編集部)が話題を呼び、このたびドラマ化されることになった(ABCテレビ 6月23日 後11:55~)。大谷翔平選手の元通訳が起こした巨額横領事件が世を騒がせる中、背景にはギャンブル依存症があったことが示唆されているが、作者の駒井千紘氏は「依存症は遠い世界の話ではなく、誰もがなる身近な“病気”だと知ってほしい」と語る。コミック1・2巻(『買い物依存 ワンオペ・ワーママ前後編』)と、ドラマの主なストーリーとして扱われるのは、フリマアプリをきっかけに買い物依存症に陥っていくワーキングマザーのケースだ。 依存症は意志が弱く、だらしのない人がなるもの──。そうした誤解と偏見がつきまとうが、『満タサレズ、止メラレズ』を描くにあたって取材を重ねてきた駒井先生は「そういった先入観は危険」と語る。 「真面目で責任感が強いがゆえに心も体も疲れ切ってしまい、それを埋め合わせるために手を出した“何か”によって依存症に陥ってしまうケースはとても多いんです。『ほどほどで止めればいい』ではなく、自分でも気付かぬうちにジワジワと脳の回路が壊れ、やがてコントロールが効かなくなるのが依存症という病気です」 主人公は、年下の夫とともに働きながら2人の子どもを育てているワーキングマザー。後輩には「20代で結婚して子どももいる勝ち組」と言われているが、現実はワンオペ育児に振り回され、会社でも保育園でも謝ってばかりの日々だった。そんな彼女がふとしたきっかけでフリマアプリにハマり、買い物依存症に陥っていく様子が描かれる。 「買い物依存症というと、一昔前は『ブランド品を買い漁り、借金の山』といったイメージがありましたが、問題は金額だけでなく行為そのものがやめられないことです。特にフリマアプリは『お得に買い物ができた』といううれしさが脳の報酬系を刺激しやすい構造にあると指摘されています。指1本で買い物ができるだけに忙しい主婦には便利ですが、身近で手軽なものほど依存リスクが潜んでいることは、知っておいたほうがいいかもしれません」