フリマアプリで「買い物依存症」に? “勝ち組”ワーママが会社の備品を転売…、「お得!」の喜びが脳に与える影響
■「理想の母親」「しっかり者」社会的プレッシャーも原因、フリマアプリ依存で会社の備品を転売
やがて依存対象のことしか考えられなくなり、人間関係や社会生活が破綻してしまうのが、依存症の典型的な症状だ。同作の主人公もほんの出来心から会社の備品を転売し、それがバレて解雇となる。 「依存症は犯罪に繋がることも多く、それゆえに『甘えだ』などと断罪されがちです。また家族も『恥ずかしい』と隠すため、重症化するケースがとても多い。犯罪などの重大な事態になって、ようやく治療に結びつくということも少なくありません」 コミックには、自助グループやカウンセリングによって「依存の根本原因」を紐解いていくシーンも盛り込まれている。駒井氏は、「子ども時代の親子関係に起因する愛着障害を抱えた人が、生きていくために何かに依存せざるを得なかったというケースは多い」という。 「『買い物依存』の主人公は、家事に育児に仕事に手一杯になりながらも、夫にSOSを出せないでいました。幼い頃に親から『しっかり者のお姉ちゃん』という役割を強いられていた彼女は、自分の本音を抑圧して相手に合わせるようになってしまったんです。さらに『理想の母親像』といった社会的なプレッシャーも、1人で問題を抱え込む原因となっていました」 ■「自分がもしも依存症になるとしたら、その対象は何か?」を想像してほしい 依存症への偏見や誤解をなくし、正しく理解することで治療にアクセスしやすい風潮を作ること。それがひいては自分も大切な人も救うことになる。駒井氏はそんな思いを本作に込めている。 「依存症は一度かかると完治はないと言われている病気なので、どのエピソードも都合のいいハッピーエンドは描けませんでした。そのせいか『怖かった』という感想をいただくことが多いのですが、『他人事ではない』と受け取っていただけた証なのかなとポジティブに受け止めています。 さらに踏み込んで、『自分がもしも依存症になるとしたら、その対象は何か?』と想像してみていただけたらうれしいですね。『自分は絶対にならない』と思い込んでいる人ほど、いざ依存症になったら重症化しやすいということも併せて知っておいていただきたいと思います」 (文:児玉澄子)