人生のピークポイントは、子どもが生まれた瞬間――総再生回数30億回突破、平井 大が大切にする家族との日常
『Stand by me, Stand by you.』『題名のない今日』『Slow & Easy』など、数々の大ヒットを飛ばし続けるシンガーの平井 大(32)。これまで発表した楽曲はストリーミング総再生回数が30億回を超え、一昨年末には紅白歌合戦に出演、昨年は日本武道館単独公演を成功させるなど、現在の日本の音楽シーンにおいて大きな存在になっている。しかし、当の本人は「たまたま聴いてもらえているだけ」と笑い飛ばす。今年でメジャーデビュー10周年、自ら“Slow & Easy”を体現する平井の、愛と平和にあふれた音楽が生まれる背景に迫った。(取材・文:田口俊輔/撮影:宇佐美亮/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
悩んでいた自分を変えたパートナーの一言
平井がこれまで発表した楽曲は、ストリーミングで総再生回数30億回以上を記録し、なかでも『Stand by me, Stand by you.』は4億回、『題名のない今日』は2億回、『Buddy』『Slow & Easy』『また逢う日まで』『MIRROR MIRROR』は、それぞれ1億回を超える再生回数を誇る。そう伝えると「そんなにあるの⁉」と、まるで他人事のように驚いた。ここまで自分の歌が多くの人に届いた理由はどこにあるのかという問いに、「運が良かったんですよ」と、あっけらかんと答えた。 「たまたまそのときに思いついて生まれた曲が、たまたま聴いてもらえた。それだけ。聴いてくれた方からは『ウクレレの音色がすごく好き』や、『癒やされる』といううれしい声をいただいていますが、正直僕より歌や演奏がうまい人はたくさんいます。多くの人が僕の曲を聴いてくれているのは、ただただラッキーだなあって」 ついつい笑みがこぼれる。しかし、発言する彼の瞳は真剣そのものだ。
平井の人生において音楽とは、「自分の周りに当たり前に存在するもの」だという。サーフィンやギターを愛する趣味人の父を持ち、3歳になると祖母からウクレレをプレゼントされるなど、常に楽器に触れられる環境で育つ。気づけば楽器は体の一部、演奏は生活の一部となっていた。 小学校高学年でステージデビュー、ウクレレを披露し、高校生になる頃には超絶技巧のウクレレ奏者として、耳目を集める存在になっていた。10代の終わりに差し掛かったある日、ハワイで開催される祭典「ホノルルフェスティバル」のイメージソングを依頼され、『ONE LOVE ~Pacific Harmony~』を制作。それまで演奏・作曲経験はあったものの、唯一「歌う」ことを避けてきた平井だったが、この瞬間からシンガー・ソングライターとしての人生を歩むことに。しかし、一人で歌って演奏するということが、それ以降、音楽好きの青年の悩みの種になった。