「得意」と「やりたい」どっちを仕事に選ぶ? 横浜美術館の広報が語る「キャリアの拓き方」
┌────────── 今回のリニューアルのメインは、建物の改修工事でした。とはいえ、表には見えない設備更新の改修が大部分のため、外観的には一見リニューアルしたように見えないのが正直なところです。そこで休館中は『新しい横浜美術館をどうみせていくか』について、館長を中心に議論し続けてきました。 横浜美術館は石造りで建物規模が大きい一方、全体に対し入口が小さい建築です。そのため、あまり当館に興味のない方にとっては、休館前は入りづらい雰囲気だったのではないかと思います。リニューアル後はそういったイメージを取り払うため、外の広場と美術館内の大きな空間が一体となって大きな広場と感じられるよう、あらゆる人を歓迎し、誰もが自分らしく過ごせる美術館を目指そうというコンセプトを立てました。新しく掲げたミュージアムメッセージは『みなとが、ひらく』です(山本氏) └──────────
休館前も美術館地上階の大きな空間のほとんどを無料エリアとしていたが、それを知る人は少なかったという。来年2025年2月の全館オープンからは、その無料エリアを拡大し、オリジナル家具なども設置することで、さまざまな過ごし方ができ、より居心地の良い場所にすることを目指している。 ┌────────── これまでの美術館は、多くの方が『展覧会を観る』という目的をもってやってきて、静かに過ごさなければいけないような雰囲気の場所だったと思うんですよね。そこを、展覧会を観ることはもちろん、おしゃべりしてもいい、ぼーっと過ごしてもいい、目的があってもなくても日常のなかでふらっと立ち寄りたくなるような、誰にとっても心地よく自由に過ごせる空間にしていくことが、今後の全館オープンに向けての大きな挑戦です(山本氏) └────────── 最後に、自分の直感を信じて様々なことに挑戦してきた山本氏に、その原動力はどこから来るのか聞いてみた。 ┌────────── 新しい世界や知らなかった人やコトと、もっとつながりたいという気持ちが原動力になっています。今の仕事でいえば、お客さまと、美術館・作品・作家さんを『こんな面白いことがあるんですよ』とポジティブな形でつないでいきたいです。マーケティング的にも広報的にも、ただ単に情報を『伝える』だけではなく、『いかにポジティブな印象を残して今後につなぐか』ということは今後も意識していきたいです(山本氏) └──────────