騒音緩和につながるか──国際線強化、羽田空港導入した新着陸料金体系とは
年々、日本を訪れる外国人観光客は増加しています。昨年の訪日外国人観光客数は、2800万人を突破。外国人観光客によるインバウンド消費は、年間で4兆円超ともいわれています。その数字の伸びは、とどまることを知りません。 訪日外国人観光客の増加を受け、東京の玄関口ともいえる羽田空港にも変化が起きています。成田空港が開港して以降、羽田空港は中国や韓国、台湾といった近隣の東アジア諸国を除けば国内線が発着する国内空港として機能してきました。しかし、都心に近くアクセス至便の点から、国際化を求める声が強く、政府は2010年に羽田空港の再国際化に踏み切りました。 2020年には東京五輪が開催されます。今後、訪日外国人観光客はさらに増加することが確実です。羽田空港の国際線を増便するために、政府と東京都は空港機能の強化に乗り出しているのです。
羽田で進む国際線増便
日本と世界をつなぐ玄関と言えば、何と言っても1978(昭和53)年に開港した千葉県の成田空港が挙げられます。しかし、成田空港は内陸部に位置することから騒音・振動等の周辺環境に配慮されて、深夜帯の発着制限が設けられています。一方、その後に開港した大阪の関西国際空港、愛知の中部国際空港などは海上に建設されているので、そうした心配がありません。そのため、24時間空港として運用されています。 首都圏にも海上空港がないわけではありません。東京湾に浮かぶ羽田空港は24時間運用が可能です。しかし、歴史的な経緯から原則的には国内線の空港として利用されてきました。社会状況が変化してきたことに伴い、現在では羽田空港から国際線1日約110便が飛んでいます。 2015年頃から、政府や東京都は羽田空港の国際線機能を強化する検討を開始しました。国際線強化の内容は多岐に渡りますが、その中でも政府・東京都がもっとも力を入れているのが国際線の増便です。 「羽田空港には、4本の滑走路が設けられています。『滑走をもう1本増設することにより発着回数を増やせるのではないか』というご意見もいただきます。発着回数が増やせない理由は、滑走路の本数だけが問題ではないのです」と説明するのは、国土交通省航空局航空ネットワーク部首都圏空港課の担当者です。