冗談めかした「給料ドロボー」はアウト?…自覚なきハラスメント、線引きは 社長「教えるのがパワハラなの?」【#みんなのギモン】
■弁護士「パワハラになる可能性高い」
さらに、別の社員Cさんを詰問する様子も収められていました。 社長 「何でこういう間違いが起こった?」 社員C 「…ちょっといま浮かびません。申し訳ありません」 その後も社長は、「何で間違いが起きたか分からんのかお前は!」「お前が処理せんから起こったん違うのか!」「原因はお前やろうが!」「どうなんや!」とまくし立てます。「…はい」と繰り返すCさん。「…その通りだと思います」と言うのがやっとでした。 録音では何人もの社員に対し、激しい言葉が浴びせられていました。パワハラ問題に詳しい専門家に音声を聞いてもらいました。 早稲田リーガルコモンズ法律事務所・原島有史弁護士 「いまの日本の社会でこういうやり方、こういう指導の仕方は基本的には(裁判所に)パワハラと判断される可能性が非常に高いと思います」
■防止法では?…パワハラ認定の3要素
いわゆるパワハラ防止法では、「自分が上司である優越的な関係を背景とした言動」や「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「労働者の就業環境が害されるもの」の3つを全て満たすと、パワハラと認定されます。 一昨年からは全ての企業の事業主に対し、パワハラ防止のための措置を講じることが義務化されました。
■精神的に追い詰められ…辞めた人も
私たちに告発したのは、取材当時に現役だった社員と元社員の合わせて6人です。カメラの前で証言した社員は「精神的にグサっとくるような。社員は口答え、反論はまるで許されないような状況になりますので。机をたたきながら、本当にどう喝です」と明かします。 その様子について別の社員は、「社内はワンフロアなので、まるで公開処刑。ほぼ毎日誰かが怒鳴られているので、『またか』とBGMのようになっている」と話します。 こうした環境の中、精神的に追い詰められて辞めざるを得なかったという社員もいました。取材に応じた元社員の男性は「怒鳴られている時は、人格否定はずっとありましたね。精神的に参ってきて、もう辞めるというところに至りました」