臼井蘭世が“アマチュア”のままマイナビネクストヒロインに出場した理由
2024年からマイナビネクストヒロインに登録し、ツアー史上初めて“アマチュア資格”を保持してトーナメントに出場した臼井蘭世(うすい・らんぜ)。出場選手のほとんどがプロ転向をしているなかで、なぜあえてアマチュア資格を残したのか。その理由を本人に直撃した。 似ている? 臼井麗香・蘭世姉妹のツーショット【写真】 マンデー挑戦にはアマチュア資格が必要だった 25歳以下の若手女子ゴルファーに真剣勝負の機会を提供する「マイナビネクストヒロインゴルフツアー」には現在、198名の選手が登録している。そのほとんどはアマチュア資格を放棄し、プロ転向を果たして賞金を獲得できる状態でトーナメントに臨んでいる。 そんななか、同ツアーで初めてアマチュア資格を保持したまま参戦した選手が臼井だ。初出場となった開幕戦「マイナビカップ」で1打差の2位タイ、第2戦「Sanrio Smile Golf Tournament」でも3位タイと上位でフィニッシュしており、プロ転向を果たしていれば少なくない賞金が手に入ったはずだ。なぜ、あえてアマチュア資格を保持したのか。 「春先には国内女子ツアーのマンデートーナメントなど、アマチュア推薦でしか出場できない競技がありました。プロ転向して賞金を得られることも魅力的ですが、アマチュア資格を放棄するとマンデーからレギュラーツアーに出場するチャンスもなくなります。そのため、今年のマイナビネクストヒロイン序盤の戦いはアマチュア資格を保持したまま出場することを決めました」 国内女子ツアーのトーナメントに出場するには、シード権の保持やQTを上位で突破する以外に、主催者推薦というルートが存在。さらに、その権利を得るためマンデートーナメントと呼ばれる主催者推薦選考会がある。アマチュアであっても、主催者の推薦を受けてマンデーに出場し、上位に入れば本戦に出場することが可能。臼井も2023年「ヤマハレディースオープン葛城」で、このマンデーを突破して本戦に出場した経験がある。 春先の臼井は、このルートでのトーナメント出場を目指していたわけだが、そのためにはアマチュア資格の保持が絶対条件だった。なぜなら、プロとしてマンデーの推薦を受けるには日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)会員である必要があるからだ。仮にプロ転向してアマチュア資格を喪失してしまうと、プロテストに合格するまではマンデー含め推薦で試合に出場することができなくなってしまう。そのため、いくつかのトーナメントでマンデーの挑戦権を得られる予定だった臼井は、アマチュア資格を保持しておく必要があった。 マンデー挑戦が終わり、晴れてプロ転向を決意 春のマンデー挑戦がひと段落し、出場できる試合が減ってきたことで、臼井はプロ転向を決意したという。 「マンデーを除けば、プロ転向をした方が出られる試合も増えますし、賞金がかかってくれば競技に臨む気持ちも変わってきます。そのため、6月を過ぎたところでプロ転向を決意しました。また頑張ろうという前向きな気持ちになれていますし、賞金がかかったことで良い緊張感を持って、プレーに集中できています」 プロ転向後、すでにマイナビネクストヒロインの競技にも出場しているが、第8戦「リオン・ドール コーポレーション/ゴルフパートナーチャレンジカップ byゼビオグループ」では、3位タイに入る活躍を見せている。 「賞金をいただくと、自分のプレーに価値がつくような気がして、うれしいですね。当面の目標は1勝を挙げることです。マイナビネクストヒロインはもちろん、実はまだまだ知らない大会も多くあるので、周りの子に聞いて、できる限りたくさんの試合に出ていきたいです」 そんな臼井が目指すのは「周りの人に感動を与えられるプロゴルファー」だ。「とにかく攻めてバーディをたくさん取る。得意なドライバーでチャンスを作っていく、攻めるプレーを見てほしいですね」と自分の持ち味を語る。 臼井には4歳年上で、ツアー1勝の姉・麗香がいる。ゴルファーとして今は遠い存在だが、「いつかは肩を並べてプレーしたい」と一歩ずつ、着実にプロとしての歩みを進めていく。(文・田辺直喜)