2024年以降は「相続税」が高くなる場合も!?5000万円を相続すると改正前後でいくら違う?
2024年に相続税と相続税に関する贈与税の仕組みが改正されました。人によっては、改正されたことで相続税の金額が大きく変わるケースもあるでしょう。 改正内容をしっかり把握しておくと、今後相続をしたときにスムーズな計算が可能です。今回は、2024年の相続税に関する改正内容や、改正の前後でどれくらい税額が変わるのかなどについてご紹介します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
2024年の相続税改正で何が変わったのか
2024年の相続税改正で変わった点は2つです。 1つ目は、相続時精算課税の計算に基礎控除が創設された点があげられます。2つ目は、被相続人からの生前贈与があるときに、相続財産として加えられる期間が延長したことです。それぞれの改正内容を詳しく解説します。 ■相続時精算課税制度に基礎控除が創設される 相続時精算課税制度とは贈与税の制度のひとつです。原則として60歳以上の直系尊属から18歳以上の子どもや孫などに対して財産を贈与した場合に選択できます。改正前は最大2500万円の特別控除が適用され、2500万円までなら贈与税が発生しませんでした。 国税庁によれば、2024年の改正により、上記の特別控除に加えて1年で110万円までの基礎控除が創設されました。例えば、5年間かけて制度により親から贈与を受けていた場合の控除は合計で「2500万円+(110万円×5年)」となり、最大3050万円です。 相続税を計算するときは、制度を通じて被相続人から受けていた贈与をほかの相続財産と合計します。ただし、亡くなる前に贈与を受けた分で贈与税を支払っている場合は、相続税額から納付した贈与税額を引いて計算が可能です。また、基礎控除は相続税の計算時にも適用されます。 なお、国税庁によると、この制度は贈与者ごとに選択することができますが、一度選択をすると、その贈与者から贈与を受ける財産については、選択をした年分以降すべてこの相続時精算課税制度が適用され、通常の暦年課税には変更できません。 ■贈与としてみなされるのは生前7年までに延長される 相続時精算課税を選択しない限りは、贈与税は基本的に暦年課税です。改正前は、相続財産を取得し、生前に被相続人から贈与を受けていると、相続が始まる3年前までに受け取った贈与が相続財産として合算されました。 2024年の改正後は、相続を開始する7年前までが対象になり、そのうち3年以内に贈与されたもの以外の財産については100万円が控除されます。例えば相続をする7年前までに合計500万円を受け取っており、そのうち3年以内に200万円を受け取った場合、400万円が相続財産として扱われます。