<ラグビー>最年長の大野 オールブラックス戦に挑む想い
役者は揃った。11月2日、東京・秩父宮ラグビー場。日本代表がニュージーランド代表と激突する。 オールブラックスの愛称で知られる世界ランク1位の艦隊は、当日にテストマッチ(国同士の真剣勝負)デビューを飾る予定の選手がベンチ入りのうち4人。かねてから日本でのゲームを「若手にはいいチャンス」だと発信してきた陣営は、いわば宣言通りのマネジメントをしているとも言える。
ラグビー界のビッグネームがずらり
もっとも、各所に散りばめられたキャリア組は、間違いなく一線級だ。97キャップ(テストマッチ出場数)のダン・カーターがスタンドオフの位置に座り、22キャップのベン・スミスもセンターで出場予定だ。何より、120キャップのリッチー・マコウ主将がナンバーエイトとしてスターティングラインナップに加わる。各所で勝利宣言をしてきたジャパンのウイング廣瀬俊朗主将も、相手リーダーには畏敬の念を示している。「会ったことがないので想像でしか言えないですけど」としながら、31日の記者会見でこう発した。 「いつもテストマッチで激しいプレーを、一貫性を持ってやっている。その人が120キャップを持っていて、世界一の国を率いている。それを15キャップで、主将2年目の自分に置き換えて想像すると、ものすごいことなんですよね。考えられないものを背負って来た人。そこに挑戦するのは、自分にとって素晴らしいことだと思います」
勝率90%以上 世界最強のチーム
オールブラックスは、世界一となった2011年のワールドカップニュージーランド大会以後も9割以上の勝率を誇る。とにかく、勝利を宿命づけられた存在だ。その意味で、6月15日に猛暑の秩父宮で散ったほぼ2軍格で指揮官不在のウェールズ代表とは、趣が違うだろう。強豪が来日すると、どうしても「実際、相手はどこまで本気でやってくるのか」との論調が求められる。ただ、今回その問いに答えるとしたら、「そういう次元の相手ではない」という言葉が妥当になろう。事実、日本ラグビー界のトラウマとなった、1995年のワールドカップ南アフリカ大会での17-145という記録的大敗の折も、向こう側にはレギュラー争いで当落線上の面子が少なくなかったのだから。