ビットコイン技術をより簡便、高効率、安全に──BitVM2発表のロビン・ライナス氏
画期的なプロジェクトである理由
同氏のプロジェクトが画期的だと評価されている理由のひとつは、ビットコインの基礎となるコードに変更を加える必要がないことだ。ビットコインは、後続のブロックチェーン・プロジェクトよりも、そのガバナンスにおいて完全に分散型であり、イーサリアムやソラナのように指導的な基盤や管理団体、主導的開発者は存在しない。 話題となったOP_CATのような一見控えめなプロポーザルでさえ、ビットコインのコードのメンテナーによって採用されるのは難しい。というのも、ほぼ完全なコンセンサスを得ることが、アップデート・プロポーザルのデファクトスタンダードとなってきたからだ。 BitVM2の最初の用途は、「ロールアップ」(基本的には、ビットコインに上乗せする独立した補助ネットワークで、より高速で安価なトランザクションを処理できるが、同様のセキュリティ保証がある)を可能にすることである。 ライナス氏のオリジナル・デザインが発表されただけで、ビットコインでプロジェクトを構築しようという熱意が沸き起こった。7月の時点で、CoinDeskは少なくとも83のBitcoinレイヤー2プロジェクトを確認しており、ロールアップやサイドチェーンなど、さまざまなセットアップが行われている。 この新しいパラダイムは、ビットコインを安全にロールアップに送り、その後に安全に戻して預金を引き出すことができるブロックチェーンの「ブリッジ」を作るのに用いられる可能性がある。 ビットコインのプルーフ・オブ・ワーク・コンセンサス・メカニズム(暗号パズルを解くためにデータセンターが不休で稼働し、大量の電力を消費する取引確認方法)は、その環境への影響について批判されているが、ほとんどのブロックチェーン専門家は、これが最も安全なブロックチェーンであることに同意する。 その魅力は、ビットコイン発行残高の時価総額が1.2兆ドル(約176兆円、1ドル=147円換算)と、他のすべての暗号資産を合計した額よりも多いことに表れている。 「私たちの新しいブリッジの設計は、よりシンプルで、より資本効率が良い」とライナス氏はCoinDeskに対してテレグラム(Telegram)メッセージで語った。「以前の設計では、ブリッジ運営者が担保をロックしなければならない金額と期間の両面で、流動性の問題が発生していた。今や、より少ない資本で、より短いロック期間で済んでしまう。」 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Bradley Keoun|原文:Bitcoin's Programmability Draws Closer to Reality as Robin Linus Delivers 'BitVM2'
CoinDesk Japan 編集部