ライドシェア、運転手確保に課題 タクシー会社負担増も 大阪府内、万博期間中の常時運行
2025年大阪・関西万博期間中は大阪府内全域で、毎日24時間の運行が可能になったライドシェア。タクシー会社やライドシェアの配車アプリ配信会社にとっては、ある程度、事業に取り組みやすい環境が生まれることになる。ただ、運転手を採用して訓練などを行うには時間がかかり、車両の運行管理などを担うタクシー会社の負担も増大する。万博後の規制緩和も見通せず、ライドシェアの普及拡大につながるかは未知数だ。 【表でみる】大阪でのライドシェアの規制緩和を巡る利点と課題 大阪のタクシー会社に出資するライドシェア配車アプリのnewmo(ニューモ、東京)は19日、今回の規制緩和の動きを受けて、万博に向けて運転手の採用を拡大するために追加の賞与の支払いや、自家用車を保有しない人向けに車を貸し出すなどのキャンペーンを開始したと発表した。 ただ、規制緩和がライドシェアの拡大につながるかは不透明だ。別の配車アプリ会社関係者は「万博開幕までの期間が短すぎ、多数の運転手を採用するのは困難だ。採用できてもタクシー会社が24時間体制で点呼やアルコールチェックなどを行わなくてはならず、負担を負えるのか」と疑問を投げかける。 日本版ライドシェアでは、運転手はタクシー会社が雇用し、管理する仕組みになっている。運転手の勤務時間が伸びれば、タクシー会社が負担する社会保険料も上がるなどの側面もある。同関係者は「海外のように運転手が個人事業主として自ら車両を運行、管理する形でなければ、ライドシェアは容易には広がらない」と語る。 一方で利用者側から見ると、需要に応じて台数が増えれば、繁忙時にタクシーが拾いやすくなるメリットも大きい。通常のタクシーに比べたサービスの質への不安を利用拡大で払拭できれば、「ライドシェアへの評価が高まるのでは」(タクシー業界関係者)と期待する声もある。(黒川信雄)