初めて議長国を務める日本 G20大阪サミットの注目点は?
6月28日からG20(20か国・地域)首脳会議(サミット)が大阪市で開幕します。日本が初の議長国を務める今回のG20の注目点にはどんなことがあるか。元外交官で平和外交研究所代表の美根慶樹氏に挙げてもらいました。 【図】大阪で開幕する「G20」サミット、「G7」とは何が違う?
●G20の議長国を決めるルールとは?
6月28、29日、日本で初めてのG20サミットが大阪で開催されます。G20はもともと財務大臣・中央銀行総裁の会議でしたが、2008年のリーマンショックから世界的な金融危機が発生したのをきっかけに、同年11月から首脳会議が開催されるようになりました。 米国は金融危機が発生した国でしたが、景気回復においても主導的役割を果たし、第1回(2008年)と第3回(2009年)の2回、首脳会議の議長国を務めました。 当初、議長国の順番は決まっていませんでした。韓国は日本より9年早い2010年後半、第5回首脳会議の議長国となりました。韓国には失礼かもしれませんが、同国の国際金融における地位にかんがみると異例の早さでした。 それには米国の思惑が強く働いたのだと思います。当時、韓国内では米国との自由貿易協定の国会承認に激しい反対が起こっており、韓国政府は苦慮していました。承認されなければ米国としても困ったことになります。そこで米国はG20という世界的に重要な会議の議長国を他の国に先んじて韓国に認めることにより、韓国政府を支持する姿勢をみせ、韓国国会で承認を得る一助にしたのでした。 その後、G20首脳会議は毎年1回開催されることとなり、議長国の順番についてもルールができました。世界を大きく5つのグループに分け、各グループが順番に議長国を出すことになったのです。日本は中国、韓国及びインドネシアと同じ第5グループに入りました。 各グループの中では、例外はありますが、アルファベット順に議長国が選ばれています。 G20は、主要7カ国(G7)首脳会議と違い、新興国が半数以上を占めています。新興国の力が増大していることの反映です。 またG20には、国際通貨基金(IMF)や世界銀行など関連の国際機関も参加しており、財政・金融問題について協議する世界でもっとも重要な会議といえるでしょう。