“人材不足”からZ世代が入りたいと思う会社に 縫製工場 ナイスコーポレーション代表に聞く、中小企業が生き残るために必要なこと
ものづくりを担う最前線の現場として、ファッション業界を足元で支える存在である「縫製工場」。高い技術力を有する必要不可欠な業界の屋台骨である一方で、その存在が表に出ることは少ない。また、日本国内の縫製工場は深刻な人手不足に見舞われ、技術の継承や存続が危ぶまれているという話を耳にすることも多い。 【写真】ナイスコーポレーション 代表取締役の井筒伊久磨氏 そのような中、「生産の現場の厳しい現状を変えたい」と数年前からさまざまな改革を独自に行い注目を集めているのが、国内有数のデニムの生産地・岡山県の児島を拠点とする縫製工場 ナイスコーポレーション(Nice Corporation)だ。2023年4月に日本の縫製工場として初めて「Bコープ(B Corporation™︎)」認証*を取得したほか、自社ホームページではBコープについての対談をはじめ、オリジナルプロダクトやものづくりにまつわる多様で読み応えのあるコラムを掲載するなど、他の工場とは一線を画す取り組みを行っている。 数年前までは「ホームページすらないような古い体制」「人材不足が課題」だったという同社が、縫製工場として画期的な発信や取り組みを積極的に行い、Z世代が入社したいと思うような会社へと変化を遂げたのは一体なぜなのか。Bコープ認証取得の背景や過程から、それによってもたらされたメリットや意義、日本の縫製工場を取り巻く環境、今の時代に日本の中小企業が生き残るために必要なことまで、ナイスコーポレーション代表取締役 井筒伊久磨氏に話を聞いた。 *Bコープ認証:ビジネスを通じて社会を変えるムーブメントとして、2006年に米国のNPO法人「B Lab」が始動した国際認証。社会的・環境的なパフォーマンスや透明性、説明責任などについてB Labが設定した200を越える基準「Bインパクトアセスメント(B Impact Assessment、以下BIA)」をクリアすることで取得できる。2024年3月時点で、全世界95ヶ国・162以上の産業で8000以上の企業が取得している。