手塚理美「老けたと言われても気にならない」50代後半からのグレイヘアも人生の実験のひとつ
■グレイヘアに挑戦「他人の目よりも自分の気持ちにまかせて」 ── 年齢を重ねるごとに私たちは変化を恐れて、身軽さを失いがちです。手塚さんは、新しい挑戦をするとき、失敗を恐れてためらうことはありますか?
手塚さん:まったくないと言ったら嘘になります。とくに、私たち世代は「失敗してはいけない」と教わってきたので、余計に挑戦を恐れて、頑なになってしまいがちです。 でも、子育てを終えて2人の息子たちも無事に巣立ち、人生ひと区切りで次のステージに向かうなか、「こうあるべき」とか「ねばならない」と思ってきたことを少しずつ手放してみようかなと思ったんです。 知っているふりやわかっているふりもやめて、できないことはできないと素直に認める。そうしているうちに、自分のなかの頑なな部分が解けてきて、「失敗したら、また考えればいいや」と、思えるようになりました。
── 50代後半からは、白髪染めを卒業し、スタイリッシュなグレイヘアに移行されたことも話題になりました。 手塚さん:昔からできるだけ自然でナチュラルな姿でいたい気持ちがあって、ふだんはノーメイクです。芸能界のお仕事で、つねに着飾ってメイクをすることが多かったので、余計にそう感じていたのかもしれません。 30代のころから先輩の女優さんたちが、いつ白髪をカミングアウトしようかと悩んでいらっしゃる姿を見てきましたが、私としては「白髪って素敵だから、そのままでいいのになあ」とずっと思っていたんです。
実際、白髪を染め続けることにもわずらわしさを感じていました。そんなとき、たまたま雑誌で見たグレイヘアの特集に背中を押され、やってみようと決めました。グレイヘアへの移行は、自分の体を使った「実験」のようなものでしたね。自分の髪がどんなふうに変わっていくのか、変化を楽しみながら3年くらいかけて、黒髪からグレイヘアになりました。 ── 周りの反応はいかがでしたか? 手塚さん:「まだ早いのでは?」という意見もありましたが、ずっとグレイヘアでいくことを決めているわけでないんです。ただ、何事も自分で経験してみないと納得できない性格なので、体の変化を確かめたい、知りたいという気持ちが強いんですよね。やってみてダメだったらやめればいいだけ。