全国の自治体で窓口手続きを効率化、7835件の規制改革で3.6兆円の経済効果を創出
もちろん、残りの約4%についても今後フォローアップが続けられる。 地方自治体の窓口に行った時「あれ? 便利になったかも?」と思ったら、このデジタル庁による『アナログ規制見直し』の成果である可能性が高い。 ■目視確認しなくても、ドローン撮影や衛星画像でもOK 『アナログ規制』は8つのパターンとその他のパターンに分類し見直しが進められた。 一番多かったのは『目視』が定められているもので、2927条項あった。
たとえば、千葉県君津市の例。従来は近接目視を義務付けていた道路橋の定期点検について、国交省が点検要項を改定したのを受けて点検にドローンを導入した。 従来は小さな川にかかった県道の橋であっても、点検のために交通規制を行って重機を導入したりと大変な手間とコストをかけて、目視で点検していたが、ドローンを利用することにより、大幅に費用を削減できるようになった。 また、福島県南相馬市では税制の肝となる農作物の作物確認に衛星画像を利用するようになった。ご存じのように、農地としての利用実態がないと土地の固定資産税が大きく上がるので、実際に農地として活用しているかを確認する必要があるのだが、確認は作物が成長して、実がなるような時期に行わないといけない。
これまでは、収穫時期の前に、南相馬市の役所総出+シルバー人材センターの300人以上を動員して確認していたのだが、改定によって現地確認の必要を大幅に軽減することができた。地方では人口減少と高齢化がさらに進んでおり、これらの効率化は必要不可欠だといえる。 東日本大震災や、能登半島地震の記憶が新しいが、従来の災害対策基本法だと住居が被災した時の被害認定は現地での目視確認が義務付けられていたが、そもそも現地に立ち入れないとか、明らかに水没している状態でも、職員による目視確認は必須であった。
しかし、そのような状態では、そもそもその職員自身も被災していたり、地方自治体の負荷も非常に高まっていることが多い。新しい運用指針では、被災地全体をドローンで撮影、3次元化して浸水深を自動的に算出することにより、被害が明らかである場合、被害の程度を地域一括で判定することが可能になった。 ■紙の書類ではなく、オンラインでもOK 『書面で行うこと』とされている規制も多かった。 福井県福井市や、奈良県吉野町では、従来は書面で作成し、押印、窓口での受け渡し/郵送、収入印紙の貼り付けが必要だった手続きを、PDFデータで作成し、クラウドを利用した電子契約サービスを介して行えるようにした。