BREIMENと令和ロマンが語る、垣根を掻き乱す「生き方」
テレビとTikTokの狭間でどの世代を狙うのか
くるま 今はこの世代のエンタメがちょうどまだないんですよね。YouTubeとかはもっと下の世代だったりするし、テレビは今流行ってるものでも「ちょっと上の人が作る面白いもの」というか。 高木 めっちゃわかります。上の世代はテレビで天下を取って、なんならYouTubeまで手を出していて。下の世代はTikTokとかで、それって肌感覚的にはわからないところじゃないですか。俺ら世代はその切り替わりに若干取り残されたような気がするんですよね。YouTubeを見始めていたら下ではTikTokがバズってるし、でもYouTubeで天下を取るほどまだ歴もない。その世代なのかなと勝手に思っているんですけど。 くるま 僕、いつもめっちゃ思ってます。文化の迷子みたい。 高木 だからその世代の令和ロマンが、テレビという場所で天下を取ったことがすごく意味深いなと思って。 ケムリ 僕らの世代でエンタメをやってる人って、上合わせの人が多いような気がしません? ちょっと無理して上に合わせてやってる人が多い。 くるま ギリギリそうなれるというか。 ケムリ どっちもいけるから取り残されてるのかもしれないですね。 くるま 俺たちは芸人として、ボーッとしていたから取り残された感じがある。俺らの世代で下にシフトしてる人も上にシフトしてる人もとっくにいて。霜降り明星さんみたいにテレビで後輩として(上に合わせて)バーンっていく人もいれば、下にシフトしているYouTuberの方とかもいて。俺らはボーッとしてたらどこにも入れなくて。裸のまま残ったから奇跡の同世代感のあるお笑いなのかもしれないです。 ーM-1の決勝ネタには新しい学校のリーダーズなど今のトレンド要素も入れられていて、それで優勝されたことから「テレビでウケるもの」の変化を感じるところもありました。「文化の迷子」な世代として、世の中に刺さる作品作りのためにできることとは何か、それぞれどのように考えていますか。 ケムリ 新しい学校のリーダーズは、この世代に刺さるというよりは、ギリギリ上の人もわかるところでやっていたのもあるもんね。 くるま うん。お笑いの「刺す」はどんどん変化していると思うんですけど……結局、同年代にしか刺せないしなとは思ってますけどね。 高木 めちゃわかる。 くるま あ、本当ですか? 高木 音楽でいうと、下の世代だとTikTokの15秒とかの尺間で意味を成し得ているか、インパクトがあるかどうかが大事じゃないですか。俺らの世代はもうちょっと長い感覚で音楽を聴いていたと思うんです。そこにシフトしていくやり方も選択肢としてないことはないんだけど、どうしても肌感覚レベルで「ちょっと違うな」ってなっちゃうところがあって。ついこの間アルバムを作ったんですけど、そこを捨てるわけじゃないけど、考えてもわからない部分もあるなと思って。だから確かに同世代を意識してるのかもしれないです。 くるま 俺はそれでいいと思いますけどね。 ケムリ 自分らが楽しいと思えないと、というのはありますよね。お笑いは特に、面白いと思ってないとやりたくはないし。 くるま 上や下に合わせてできる人のことは本当に尊敬しますけどね。すごくプロだなと思う。自然体でいようと思ったら必然的に同世代がターゲットになって、そこに感覚が若い上の世代の方とか大人びてる下の子がたまたま入ってきてくれたらそれは大歓迎で。「わかりません」って言われてしまったら「ごめんなさい」としか言えないですよね。 高木 ネタからそのスタンスを感じました。「ここで笑いが途絶えると流れとして成り立たない」みたいなことがある中で、一番誰でも笑わせられる選択肢ではなく、あえてわからないこととか「この世代だったらわかるけど」みたいなことを一瞬入れている。そのバランス感覚が俺はすごく好きです。 くるま 嬉しいね。トータルで考えた時にその方が成功するなって。このたとえが合っているかわからないんですけど、ディズニーのファストパスみたいな感じ。ファストパスと普通の列があるじゃないですか。自分たちのネタがジェットコースターだとした時に、前提知識が必要なボケがあって、それを知っていたら早く辿り着ける。でも知らなくても意味は通るようになっていて。「別にファストパスを取ったやつが早く乗れる分にはよくないですか?」って。それをやった方がパーク全体が回るじゃないですか。 高木 面白い、なるほどね。 くるま その方が活発になるでしょ、っていう。