2024年上半期「人手不足」関連倒産145件 調査開始以降で最悪ペース、年間最多を更新の可能性も
2024年上半期(1-6月)「人手不足」関連倒産の状況
「人手不足」関連倒産が過去最多のペースで推移している。2024年上半期(1-6月)の「人手不足」を一因とする倒産は145件(前年同期比116.4%増)と急増した。調査を開始した2013年以降、上半期で最多だった2019年(82件)の1.7倍に達する。現状のペースをたどると、年間最多の2023年(158件)を抜くことはほぼ確実で、300件を超える可能性も出てきた。 内訳は、「求人難」が58件(前年同期比114.8%増)、「人件費高騰」が47件(同95.8%増)、「従業員退職」が40件(同150.0%増)と、すべての要因で急増している。人材確保のための賃上げは必要だが、大手企業と中小企業の賃上げ格差は拡大している。資金的に余裕の乏しい中小企業が、人手不足の解消に取り組むには、生産性の向上、収益改善などを早急に見直し、安定した賃上げ原資の確保が急務だ。 産業別では、最多がサービス業他の46件(前年同期比155.5%増)で、以下、建設業の39件(同200.0%増)、運輸業の29件(同52.6%増)と続く。コロナ禍以前から人手不足が続く産業での増加率が大きい。 資本金別は、1千万円未満が91件(同139.4%増)で、全体の6割以上(62.7%)を占めた。 形態別は、破産が129件(同101.5%増)と2倍以上増え、約9割(88.9%)を占めた。人手不足で失注を余儀なくされた企業は、業績悪化に歯止めが掛からず事業継続を断念するケースが多い。 円安で輸入資材やエネルギーなどの価格上昇が続き、ゼロゼロ融資の返済も始まった。経済活動が平時に戻るなか、資金調達力の乏しい中小企業には売上増が負担になりかねない。従業員の退職阻止や新たな人材確保に賃上げは不可欠だが、そうした流れに対応できない企業を中心に、「人手不足」関連倒産は増勢をたどる可能性が高い。 ※本調査は、2024年上半期(1-6月)の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「人手不足」関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)を抽出し、分析した。(注・後継者難は対象から除く)