2024年上半期「人手不足」関連倒産145件 調査開始以降で最悪ペース、年間最多を更新の可能性も
【要因別】「従業員退職」が2.5倍に急増
要因別では、最多が「求人難」の58件(前年同期比114.8%増、構成比40.0%)で、3年連続で前年同期を上回った。このほか、「従業員退職」が40件(前年同期比150.0%増)、「人件費高騰」が47件(同95.8%増)と、それぞれ2年連続で前年同期を上回った。 大手企業と中小・零細企業の賃上げ格差が広がっている。採用だけでなく退職引き留めには賃上げに加え、福利厚生など待遇改善も必要だ。しかし、身の丈を超えた賃上げや福利厚生の充実は資金繰りの悪化に拍車を掛けかねないだけに、収益改善に取り組みが緊急かつ重要な課題に浮上している。
【産業別】10産業のうち、8産業で増加
産業別では、10産業のうち、金融・保険業と情報通信業を除く8産業で前年同期を上回った。 最多は、サービス業他の46件(前年同期比155.5%増)で、3年連続で前年同期を上回った。構成比は31.7%(前年同期26.8%)だった。 次いで、建設業の39件(前年同期比200.0%増)、運輸業の29件(同52.6%増)と続く。 建設業や運輸業は、もともと人手不足が顕著だったが、今年4月から時間外労働の上限規制が適用された、いわゆる「2024年問題」で人手不足がさらに深刻化し、建設業は前年同期比3.0倍、運輸業は同1.5倍にそれぞれ急増した。 このほか、製造業11件(同57.1%増)と小売業9件(同200.0%増)が2年連続、卸売業が3件(同50.0%増)で2年ぶりに、それぞれ前年同期を上回った。 また、農・林・漁・鉱業が2件で4年ぶり、不動産業1件が3年ぶりに、それぞれ発生した。 一方、情報通信業が前年同期と同件数の5件で、金融・保険業は、調査を開始した2013年以降の上半期では発生していない。