トランプ氏が早くも仕掛けた”関税戦争” “忠臣人事”が通商政策に及ぼす影響は?日本はいち早く貿易から直接投資にシフトへ【Bizスクエア】
財務長官には投資ファンド経営者のスコット・ベッセント氏。商務長官にはイーロン・マスク氏が財務長官に押していた投資銀行CEOのハワード・ラトニック氏。そして通商代表部(USTR)代表には対中、関税引き上げ強硬派のグリア氏が指名されている。 ――最終的に財務長官に決まったベッセント氏をどう見るか。 第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野 英生氏: 基本的にはみんな忠臣、イエスマンだと思う。このベッセント氏はどちらかというと財政規律派だといわれて、歳出が野放図に増えるのを縮小しようという主張を持っているので長期金利は逆に下がる反応を示した人物。 ――ベッセント氏の財務長官就任を機にアメリカの長期金利が低下している。この商務長官のラトニック氏と財務長官のポストを争ったということで、なかなか火種が残っているのではないかと思うし、商務長官にまわってもらったために、通商問題はラトニック氏が仕切るとトランプ氏が言っていて、通商代表部との兼ね合いもなかなか難しくて、内紛の種になりそうだ。 ■トランプ劇場早くも開幕 “関税戦争”で再びインフレ? トランプ氏がいきなり仕掛けた関税戦争。トランプ氏は中国が合成麻薬の流通を十分に取り締まっていないとして10%の追加関税を課すと表明した。さらにカナダとメキシコに対しては、不法移民の流入と合成麻薬を理由に全ての輸入品に25%の関税を課すとしている。 ――トランプ氏の理屈はこの合成麻薬フェンタニルの原料を中国が作っていて、これをメキシコのマフィアが買ってメキシコで合成麻薬にして、アメリカに大量に流入させているという理屈だが、この自由貿易協定の相手国のメキシコとカナダ、つまり今関税がゼロの国にいきなり全部25%課すというのは驚きだ。 第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野 英生氏: 大統領がこんな権限を持っているのかと。今までずっと長くやってた関税ゼロの自由貿易協定をひっくり返して、関税率かけると。相手側はたまったもんじゃないと思う。