JX金属グループのタニオビス、次世代半導体材料を開発・量産へ。独ゴスラー拠点に設備導入
JX金属は13日、グループ会社のタニオビスがドイツ・ゴスラーの拠点に次世代半導体向けCVD・ALDプリカーサ材料の開発・生産が可能な設備を導入し、稼働を開始したと発表した。先端半導体需要の高まりを受け、半導体内の極めて薄い膜の生成や微細配線の形成に利用される高純度CVD・ALDプリカーサ材料の引き合いが増えていることに対応し、開発および供給体制を整備した。 タニオビスは、ドイツにゴスラーとラウフェンブルクの2拠点を有する。ラウフェンブルクの拠点では、塩化物を中心とした各種金属化合物を開発・生産してきたが、同国ゴスラーの拠点にも新たに設備を導入し、多様な高純度金属化合物の開発による製品ポートフォリオの拡充を図るとともに、増大する需要に対して安定供給できる体制を構築する。ゴスラーの新設備は6月から本格稼働を開始した。ラウフェンブルクの既存設備については、さらなる生産能力向上による供給力強化と事業継続性の強化を図る。 同社グループは、半導体向けCVD・ALDプリカーサ材料を次世代の収益の柱とするための取り組みを進めている。6月にはグループ会社の東邦チタニウム・茅ケ崎工場の敷地内および同社日立事業所白銀地区に生産設備および開発設備投資も決定している。今回の設備増強でさらなる製品ラインアップ拡充を図ることに加え、同社がスパッタリングターゲット事業などで築いた半導体分野の幅広い知見やネットワークを活用し、グループ全体でCVD・ALDプリカーサ材料事業を拡大する。 生成AIの進化でデータセンターやAI搭載IoTデバイスの市場拡大が続いている。これらの機器に必要とされる高性能半導体には、高集積化を実現するためにさらなる微細化や多層化が求められ、これに伴いCVD(化学気相成長法)やALD(原子層堆積法)による薄膜形成のニーズが高まっている。