元横浜DeNA山崎獲得で危機管理も大和をFA流出させると阪神はV条件を失う?
阪神は27日、元横浜DeNAの山崎憲晴内野手の獲得を発表、入団会見を行った。内野をすべて守れるのが売りで、本人も会見で、その点をアピールした。 昨春のキャンプで左膝の靱帯断裂の大怪我をして、この2年1軍出場はないが、15日に広島で行われた12球団合同トライアウトでは、故障の不安がない部分をアピール。阪神も2人の編成担当に最終チェックをさせていた。 今回の山崎獲得の背景にあるのはFAを行使した大和の流出に備えての危機管理だ。 球団幹部は「競争を激しく。内野の層を厚くしたい。それと、これとは切り離して考えている」と、大和流出に備えての補強であることを否定したが、大和のチーム残留は不透明。チームは4年契約を提示しているが、すでに交渉しているオリックス、横浜DeNAとの争いになっている。だが、山崎で大和の穴を埋められるか?と言えば疑問符がつく。大和はセンターもカバーできるし、守備力で言えば、かなりレベルが違う。 もし大和を失うことになれば、阪神に与える影響は尋常ではない。 阪神OBで評論家の池田親興氏が解説する。 「阪神は、チームのセンターラインが固まっていない。来季のセンターは誰?ショートは誰?キャッチャーは誰?という状況だ。センターラインで計算できるのはセカンドの上本くらいじゃないか。おそらく来春のキャンプからの競争だろうが同じ状態が続くだろう。調子を見極めながら、1年をやりくりすることになるならば、その隙間をすべてバックアップできて、スタメンでも使える大和はユーティリティープレーヤーとして絶対に必要な戦力。センターラインの固まっていない阪神が、その弱点を大きく露呈しなかったのは、ショートも、センターも守備だけなら球界でも指折りの大和の存在があったからこそ。しかも、今季はスイッチに転向して打者としての引き出しも増えた。大和がFAで手を挙げてオリックス、横浜DeNAがオファーするのは理解できる。その大和がいなくなると阪神は大きな痛手を負うことになる」 今季の阪神はセンターラインが固定できなかった。 開幕は、糸井のセンター、北條のショートでスタートしたが、まず糸井が怪我などで、その守備範囲に不安を抱えた。6月の交流戦の時期から糸井のライトが試され、センターには高山が起用された。だが、高山が不振に陥ると、センターは日替わりになり、中谷、俊介に加えて、初コンバートとなる西岡までが守った。後半戦に俊介が打撃開眼してからは、彼が「1番・センター」で固定されるようになり、横浜DeNAとのクライマックスシリーズでは3試合共に「1番・センター、俊介」だった。 ショートは、キャンプで“鳥谷との競争に勝った”とされた北條が抜擢されたが、“2年目のジンクス”の壁にぶちあたり6月下旬には2軍落ちした。代わりに出た新人の糸原がプロの水に慣れ、存在感を示していたときに怪我で戦線離脱のアクシデント。結局、勝負のクライマックスシリーズでは、3試合共に大和がショートでスタメン出場している。