「大統領選挙戦が本格化し、 プラットフォーマー による広告の却下が増えている」:あるパフォーマンスマーケティング広告バイヤーの告白
──この傾向はいつごろ始まったのか?却下されたらどうなるのか?
ここ1ヶ月から1ヶ月半といったところだろうか。これが一番の悩みの種だ。実際にいくつかのアカウントが停止された。しかも、かなり以前から掲載されていた広告が却下され、そして気づいたときにはアカウントそのものが拒否されたり停止されたりしている。アカウントの停止を解除するのは相当に骨の折れる作業だ。煩わしいことこのうえない。
──なぜこのようなことが起きるのか。理由に心当たりは?
憶測だが、サステナビリティのようなトピックが政治的なトピックと受け取られることがあることは知っている。ことしに限った話ではないし、選挙の年にはよく見られる傾向だ。考査が厳しくなり、選挙が終わるとまた少し緩くなる。選挙が近づくにつれて、ほかと比べてセンシティブな広告にはシステムの判定が軒並み厳しくなる。
──広告が却下された場合、クライアントにはどのような影響が及ぶのか?広告費をほかに移し替えるのか?
そうする。基本的にはほかのチャネルに広告費を移し替える。残念なことに、後で[メタの広告アカウントを]復活させたり修復したりするにはたいへんな手間がかかる。どのくらい時間を要するのかも分からない。 結果として、危険を分散するためにも、難しい時期が続くあいだはほかのプラットフォームに広告費を投じがちになる。Google[の検索広告]に移すこともあれば、TikTokに移すこともある。アカウント単位で判断する。
──選挙が近づくにつれてプラットフォーム上の広告環境の政治色は一段と濃くなるが、クライアントのためにほかに講じている対策はあるか?
クライアントにはメディアバイイングの微調整を助言している。投票日に近づくほどパフォーマンスは低下すると考えられる。これに備えるため、媒体費を微妙に調整する必要がある。基本的には、10月末から11月初めにかけて[広告費を]ややセーブし、11月中にもとの規模に戻す。まとめると、10月の最終週、11月の第1週、そして選挙後の最初の数日間に広告費の調整を行う計画だ。
──それは選挙の年の「通常運転」のように聞こえる。ことし特有の傾向はあるか?
ことしはブラックフライデーが11月29日、サイバーマンデーが12月2日と、例年よりもかなり遅い。昨年はブラックフライデーとサイバーマンデーに備えてかなり早い時期から広告費を増額したが、ことしはこの変更を少し違ったやり方で実行できる。これが例年とは大きく異なる点だ。この観点からすれば、ずいぶんと奇妙なホリデーシーズンと言える。 しかも、ことしのハヌカ(ユダヤ教の行事)はクリスマスの後に来る。おかげで広告の買いつけパターンも少し変わった。クライアントへのアドバイスとしては、基本的に、広告費の増額を11月に入ってすぐではなく、選挙後に開始するほうがよいということだ。そうすれば多少なりとも余裕ができる。例年との違いと言えば、そんなところだ。 [原文:Confessions of a performance marketing ad buyer on ‘uptick’ in platforms’ ad rejections amid election advertising] Kristina Monllos(翻訳:英じゅんこ、編集:分島翔平)
編集部