BMSG POSSEが語る、5人のアーティストが高め合う圧倒的肯定感
SKY-HI、Novel Core、Aile The Shota、edhiii boi、REIKOから成るクルー、BMSG POSSE。彼らが提示するのは、プロフェッショナルたちが本気で遊んだときのかっこよさだ。2024年5月に本格始動し、これまでCHANGMO、No Romeなど海外アーティストとコラボレーションを行い、音楽フェスにも多数出演するなど、それぞれが多忙な中でも積極的に活動を重ねてきた彼らは、早くも1stアルバム『TYOISM Vol.1』を完成させた。ソロアーティストとして活躍する5人にとってBMSG POSSEの存在意義、そして「TYOISM」が示す「東京・日本のカルチャー」の中身について、5人に語り合ってもらった。 【撮り下ろし写真】BMSG POSSE ―BMSG POSSEの本格始動から半年経って、そのあいだに『BMSG FES’24』含めいくつものフェスのステージに立ち、新曲も絶えずリリースし、ついに1枚のアルバムを完成させました。それぞれステージ上での振る舞いも、リリックや歌い方も、ソロとはまた異なるものをBMSG POSSEでトライし、ここで獲得しているものがあると思うのですが、POSSEの活動を通してどんなことを感じているか、どんなものを得られている実感があるかを聞かせてもらえますか。 Aile The Shota:まずは精神的なもの。「楽しい」とか(笑)。 Novel Core:「安心感」だよなあ。 Aile The Shota:POSSEに関しては「責任」が特殊だよね。 Novel Core:そう。決して無責任なわけではなくて。ちゃんと一人ひとりがアーティストとしての責任感や使命感を持って戦ってるけど、やっぱり「遊ぶ」が軸にあるので、肩に力入ってる意味での責任感ではない。「みんなで思いっきり楽しもうね、楽しませようね」ということに対する責任感であって、それがいい方向に作用している気がします。このメンバーで集まって、ライブをさせていただいたり、こうやって取材していただいたりする機会が継続してあることへの安心感みたいなものもあるなと思います。またみんなで集まって面白いことができるときに、メンバー内で「おっ」と思ってもらえるような成長をしていたいという気持ちが無意識にある。「全員めっちゃ上手い」という部分は大事にしているので。ソロ活動のモチベーションになっている気がするんですよね。 SKY-HI:みんな技術より大事なものがあるって当然わかってるし、そのうえで上手くないといけないから、POSSEは「責任がない」「遊び」とかよく言ってるけど、実はプレッシャーがあるよね。 Novel Core:リリックを書くときも、他のメンバーに「おもろ!」ってなってもらえるものを書きたいという気持ちがそれぞれの中にある気がする。 REIKO:それ、すごく感じる。 Aile The Shota:カマしたい。でもそれだけかも。客演で呼ばれたときとは違う感覚で、責任感と安心感のバランスが絶妙なのですごく楽しいですね。「MINNA BLING BLING」とか、超好きで。限られた小節でどの角度から何をカマすか、っていうのが面白かった。レコーディングのとき、熱があってスタジオに行けなくて、自宅でハンドマイクでめちゃくちゃ体調悪いフロウをしたら2度と出ないようなすごいものが出ちゃって、めっちゃ気に入ってます。 edhiii boi:めっちゃよかった、スタジオで湧いたもん。 REIKO:僕はPOSSEを経て、自分がひとりでステージに立つときのスタンスやシンガーとしての個性を見つけることができました。ラッパー3人とAile The Shotaと同じステージに立ったとき、どういうふうにいたら「REIKOとはこんな人だ」ということが示せるのかを考えさせられましたし、逆に「これをしてるだけでREIKOっぽくなるんだ」ということも学ばせていただきました。 Aile The Shota:REIKOが一番、POSSEにおいての立ち振る舞いとかステージングを悩んでたもんね。でも見つけた感じがあるね。 Novel Core:リハでREIKOがShotaに「歌ってないときってどうしたらいいんだろう」みたいな相談をしたら、Shotaが「何しててもいいんだよ」って秒速で答えてた。 REIKO:それが道標になったような気もしていて。自分ができるようになっていくフェーズでは「足す」をやりがちなんですけど、POSSEとしてステージに立つ経験をしてからは、「マイナス」をすることで自分らしい表現の仕方を見つけることができました。みんなのステージングを真横で見られることが刺激的で、「かっこつけるかっこよさ」みたいなものも学べましたし、edhiiiのはっちゃけてオーディエンスに楽しさを見せるやり方も勉強になりました。 Aile The Shota:ダンスの話もしたもんね。REIKOのダンスは引き算の方がいいって言ったよね。本当に踊りが上手いから派手にやらなくていいよって。僕は特にBMSGの中でも引き算タイプだったりするから。クルーでいると、本当に気づきが多いですね。「あ、俺edhiii boiはできないわ」「これやるedhiii boi、やっぱりすげえな」とか思う。 SKY-HI:自分の個性とか特別な部分って、自分だけだと気づかないですからね。「人は鏡」とはよく言ったもので、いろんな個性と触れ合うと「あれ、自分ってめちゃくちゃ個性あるな?」ってなる。そういうのは本当に健康的でいいなと思います。 Aile The Shota:edhiiiはPOSSEで何考えてる? edhiii boi:どれだけ遊べるかなって。ソロ活動のときは寂しいので……家で作るし、レコーディングも1人ぼっちだし、基本ずっと一人なので……その寂しさを埋められるから、POSSEが始まって変わったかも。健康になりましたね。夜、外に出ることがなくなった。 SKY-HI:嬉しい。 Novel Core:それ、日髙さんからしたらめっちゃ嬉しいですよね。 Aile The Shota:POSSEの裏テーマは、edhiii boi更生プログラム?(笑) edhiii boi:今までは現場が4、5時に終わったら、ひとりで渋谷を2時間くらい歩いたり、繁華街を3時間くらい歩いたりして帰る、ということをしていたんですけど、それがなくなりました。 SKY-HI:(「Memoria」を流し始める) Aile The Shota:“あぁ今でも1人は淋しいよ”かい! SKY-HI:最近edhiiiと話しているのは、歌舞伎町で1000人くらい集めて、「俺たち本当は愛されたいだけなんだよな!」「うおー!」ってなるライブを見たい。もはや社会貢献だと思うんだよね。 Novel Core:救われますよね。 Aile The Shota:edhiiiしか持ってない感覚、あるからなあ。 edhiii boi:世界で一番寂しいんで。POSSEが始まって以降、自分の曲を制作するときもスタジオに入ってセッションから作ることが多くなって。今新しい曲の制作が始まっているんですけど、Shotaくんがコライト、社長がレコーディングのディレクションで入ってくれていて。 REIKO:俺は呼ばれてなくて? Novel Core:おかしいよなあ。 Aile The Shota:おい! 仲良くやろうぜ! edhiii boi:その曲がめっちゃ楽しみです。成長できました。 REIKO:めちゃくちゃいい曲だよね。 Novel Core:あれ、めっちゃいい。ちゃんと病んでていい。 REIKO:バース2、大好き。リリックが本当にいい。 Aile The Shota:edhiiiは本当に、メンタルがよくなったね。 Novel Core:てか、みんなだよね。 Aile The Shota:みんなメンタルがよくなった。俺もすげえ元気。REIKOも元気になったし。 REIKO:めっっっっちゃ。 ―BMSG POSSEを発足した当時の、日髙さんの「ソロアーティストの孤独の救い」「ソロアーティストにとって帰属先を作る」といった考えがしっかりと機能しているということですよね。 SKY-HI:「あるといいな」はやっぱりあった方がいい気がするので、そういうことはやっていきたいですね。