40代で白内障になる人が増えている…治療法を間違えると「悲惨な目」にあう納得の理由
「レーザー手術」こそハイリスク
レーザー手術は保険適用外で全額自己負担になるため、医師の手によるマニュアル手術と比べ約10倍も高価な「松」の手術と言える。値段に応じた効果が伴うなら支払う価値もあるだろうが、実はそうとも限らない。 「レーザーを使えば腕に自信のない医師でも一定水準の治療が可能ではあるものの、手術時間が片目につき20~25分と長く、その分だけ術後合併症を引き起こすリスクも高まります。加えて角膜や水晶体嚢を切開する際、高速でレーザーを連射して切断するため、切断面がなめらかな線ではなく細かな点線になってしまい、傷口が綺麗にくっつきにくい。 プレチョップで水晶体を割るためだけに使うならまだしも、すべてレーザーで切開することに値段相応のメリットがあるとは到底思えません。5分程度で終わるマニュアル手術のほうが、圧倒的に優れていると思います」(赤星氏) 腕のいい眼科医を見つけ出して、プレチョップ法でマニュアル手術をしてもらう?体にも懐にも優しいこの選択肢が、現在の白内障治療の「正解」だと言えるだろう。 その場合、肝心の「技量が高い眼科医」を見分ける方法にもコツがある。 「担当の医師に『切開するのは角膜ですか?それとも強膜ですか?』と聞いてみるのが、一つの指標になるでしょう。角膜は黒目、強膜は白目にあたる膜のこと。透明な角膜には血管がないため切開しても出血がない反面、手術に時間がかかると傷が閉じにくくなってしまうので高い技術が求められます。有名な大病院の眼科に限って、いまだに強膜を切開して手術しているところが少なくないですね」(赤星氏) 医師の熟練度を見極めるもう一つの基準が、「使用する麻酔の種類」だ。赤星氏が続ける。
腕のいい医師はここが違う
「腕がいい医師は注射麻酔ではなく、点眼麻酔を選ぶことが多い。点眼麻酔は患者さんの負担が軽い一方で効果が続く時間が短いため、スピーディーな手術が求められるからです」 たまプラーザやまぐち眼科院長の山口大輔氏は、「特別な事情がない限り、片目ずつ手術する医師が望ましい」と話す。 「両目にレンズを入れてどちらも思ったように焦点が合わないと、うまく見えず日常生活に支障が出ることもあります。手術する側からすれば、両目を同時にやったほうが楽なのは事実です。しかしあえて二度手間をかけて、まず片目だけにレンズを入れて見え方を確認している医師は丁寧だと思います」(山口氏) 後編記事『白内障治療の失敗は「レンズ選び」で起こる…値段が高いから良いとは限らない納得の理由』では、レンズ選びで起きがちな失敗について紹介する。 「週刊現代」2024年10月26日・11月2日合併号より
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