和歌山市の鳥獣被害、増加傾向に イノシシ捕獲頭数は過去最多に迫るペース
和歌山市は、今年度の市内のイノシシやアライグマなどの鳥獣被害の状況を発表した。被害の相談件数が増加傾向にある一方で、イノシシの捕獲頭数はすでに1千頭を超えており、過去最多に迫るペースとなっている。市街地や住宅地でも目撃情報が寄せられており、市民に注意を呼びかけている。 【グラフでみる】イノシシやアライグマなど 和歌山市内の鳥獣被害の相談件数 市によると、今年4~11月に寄せられた目撃情報や農作物や農業用水路などへの鳥獣被害に関する相談の件数は、385件(イノシシ123件、アライグマ176件、タヌキなど86件)だった。すでに令和4年度(368件)や5年度(383件)を上回るペースだ。 一方、イノシシの捕獲頭数は今年度11月末までに1059頭に上る。4年度(783頭)や5年度(636頭)を上回り、過去最多だった2年度の1220頭に迫っている。 主に山間部で発見されているが、市内の中心部や住宅地で遭遇したというケースもあったといい、市民からは「危ないのではないか」などの意見も寄せられている。今年度に人がけがをしたという報告は、現時点で入っていない。 市は平成25年から職員らによる「鳥獣被害対策実施隊」を立ち上げ、農家に防護柵の設置のしかたを指導したり、鳥獣が寄ってこないように出荷しない傷物の農作物の管理方法についてアドバイスをしたりしている。今年は被害相談などの連絡が多く寄せられ、実施隊の出動機会も増えているという。 また市では、「刺激を与えない」「(イノシシの赤ちゃんの)ウリ坊にも注意」「エサを与えない」などと、イノシシに対して気を付ける行動などを示したチラシを作成するなどして注意を呼びかけている。 尾花正啓市長は「少しでも被害を減らすことができるよう対策を行っていく。ワナの設置などに協力いただける場合でもご連絡いただきたい」と話した。 鳥獣被害の相談は、市農林水産課(073・435・1049)まで。