決算迫る大手銀行株に先高観、日銀利上げと持ち合い解消が業績追い風
(ブルームバーグ): 来週に四半期決算を発表する日本の大手銀行株は上昇トレンドを維持する見通しだ。日本銀行による利上げ効果と持ち合い株式の売却が活発化している影響などから、利益が押し上げられるとアナリストや投資家らは予想している。
三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクは14日にそろって第2四半期(7-9月)決算を発表する。ブルームバーグ・インテリジェンスによると、同四半期の金融セクターの予想利益成長率は25%とMSCIジャパン指数のセクター別で最も高い。
同四半期は、日銀が7月末の金融政策決定会合で政策金利の無担保コール翌日物金利を従来の0-0.1%程度から0.25%程度に引き上げた影響が業績動向に反映される最初の決算だ。アイザワ証券の河西幸弘シニアストラテジストは「金利のある世界なので、銀行にはポジティブに働く」とみている。
日銀の見通しに沿って経済や物価情勢が推移した場合、日銀がさらなる金融政策の正常化を進め、追加利上げに動く可能性を示唆していることも銀行の収益や株価にとっては追い風だ。植田和男総裁は10月末の金融政策決定会合後の会見で、これまで繰り返してきた政策判断に「時間的な余裕はある」との表現を今後は使わないとし、経済・物価情勢を踏まえて予断を持たずに判断していく姿勢を強調した。
9月27日の自民党総裁選で財政や金融政策にタカ派的と市場でみられてきた石破茂首相が勝利して以降、東証33業種の騰落率を見ると、銀行業指数が15%高と上昇率で圧倒的なトップとなっている。同期間の東証株価指数(TOPIX)は0.9%の下落だ。6日の取引では、米国の大統領選挙で共和党のトランプ候補が勝つ可能性を織り込む動きが強まり、日米金利の上昇を材料に大幅高となった。
また、東京証券取引所が昨春以降、コーポレートガバナンス(企業統治)改革の一環で上場企業に資本コストや株価を意識した経営を求め、政策保有株の売却や株式持ち合いの解消が活発化していることも銀行の利益を押し上げる一因となっている。日本では長年、安定株主の確保や敵対的買収の回避、経営陣の支配力最大化のため、企業と銀行の間で株式の持ち合いが常態化していた経緯がある。