性的マイノリティーの安心と幸福のかたち 法的サポートで紡ぎ出したい
「そして」と永易さんは続ける。「そんな仲間の中には、HIV/エイズやメンタルの不安、あるいは自死により、生きていこうとしても生きていけなかった仲間達もたくさんいます。将来僕があの世に行った際に、彼らに恥じることのない様、今後も生きていきたいですね」 事務所を後にした私は階段を下りながら考えていた。少数者を取り巻く環境がどうであれ、太陽の下で生きることを選ぶものがいれば、日陰を選ぶものもいる。性的少数者の暮らしは、ここ数十年でいったいどれほど変わったのであろう。頼るべき人はいるのか。生きる希望はあるのか。それは依然十分とは言い難いのかもしれない。それでも行動を起こし続ければ、賛同するものが現れ、共に動く仲間が見つかる。それこそが永易さんが90年代以来、25年をかけて証明してきた、彼なりの人生の答えなのかもしれない。人の人生は決して舞台芸術ではなく、お決まりの答えなど存在しないのである。