性的マイノリティーの安心と幸福のかたち 法的サポートで紡ぎ出したい
性的マイノリティーたちの法的手伝いができれば本望
にじ書房を閉鎖したあとも、フリーライターとして『同性パートナー生活読本』(緑風出版、2009年)や、『ふたりで安心して最後まで暮らすための本』(太郎次郎社エディタス、2015年)など数々の著書を生み出す。社会活動家としても、2010年から、同性愛者として長い人生や老後をどう生きるかを考える「ライフプランニング研究会」を開催。毎回、性的少数者における保険・病気・介護・相続など具体的テーマを軸として、講座や情報提供を行っている。2013年には老後を考え繋がるNPOを掲げ、特定非営利活動法人パープル・ハンズを仲間とともに設立した。同年には行政書士の資格を取得し、東中野さくら行政書士事務所を開業。婚姻制度の外にある同性カップルや子どものいない老後に不安を感じるシングルの医療意思表示書やパートナーシップ契約書、遺言の作成などにもあたっている。 「社会が悪い、差別が悪い、と批判することは簡単です。でも、僕はいまある法律や制度をとことん活用するなかで、性的マイノリティーとしての安心と幸福のかたちを具体的に紡ぎ出したいんです。現在50歳の僕が仮に75歳まで働くとして、これからの25年で100組の同性カップル、100人のシングルのかたのために、法的なお手伝いができれば本望だな、と思っています」 そんな永易さんにも現在、38歳になる年下のパートナーがいる。「一緒に居ると居心地がいい」という彼との付き合いもかれこれ5年を過ぎた。彼は会社員として働きながら、普段はゲイコミュニティーとの接触もほとんど持たない、社会から隠れたゲイ生活を送っている。永易さんは可能な限り、彼のことをゲイの友人などに紹介して、お互いが孤立せずネットワークの中で生きていくための手助けをしているのだという。 「きれいごとのように聞こえるかもしれませんが、僕にとっての愛とは彼氏を含めたコミュニティー全体に対して感じているものです。自分を育ててくれて、自分の生きる役割を与えてくれたゲイコミュニティー。それは先輩だったり、これから現れてくる若い仲間も含めてだったり。血で繋がっているわけではないのだけれど、同じ生きづらさを抱えながら、でもそれに抗って一緒に生きていこうとする人たちが僕にとっては一番大事なのです」