ロシアがクルスク奪還に1万2000人の北朝鮮兵投入、対価は1人30万円
■ 3.個人装備品を支給されている北朝鮮兵 写真2の映像は、兵士が列を作ってそれぞれの支給コーナーを回り、個人装備品を受領して、バッグに入れて携行している様子だ。 彼らは、戦闘服・戦闘靴・戦闘帽を受領した後に装備品を受領している。自衛隊でも、入隊すればまずこのような形で制服・戦闘服・個人装備品を受領する。 どこの国も同じだと思う。 写真2 兵に個人装備品を支給されている様子 彼らすべてがアジア人である。ロシア兵であれば、ここにロシア人が混ざっているはずであるが、そうではない。 このような支給は、新兵に行われるのであって、古参兵にこのようなことはしない。 彼らは、若い兵だが新兵ではない。欧米人とは違って小柄ではあるが、体格はガッチリしていて、鍛えられた体形をしている。 歩き方、胸の厚さ、直立した首、戦闘帽の被り方は、軍人として数年以上経験した者だ。 体が細い者もいるが、弱々しくはない。この兵たちは、北朝鮮の軍人だと言われているが、その通りだと思う。 また、北朝鮮の国内事情の写真での工事現場や農作業を行っている兵たちと比較しても、体格がガッチリとしている。精鋭部隊の兵士だ。 北朝鮮兵が、ロシア製の銃、ゴーグル、鉄棒、暗視装置、リュック、戦闘服、戦闘靴、雨具などに慣れて戦うのは難しいだろう。 特に、銃が故障した時の排除と分解結合と整備、暗視装置を使った戦闘などには慣れていない。
■ 4.ロシアに派遣されている兵は特殊部隊所属 韓国国家情報院によれば、ロシアに派遣されている部隊は、第11軍団(通称:暴風軍団)と呼ばれる特殊作戦部隊であるとしている。 この部隊は、日米の情報機関の中では、「教育訓練指導局」(Training Unit Guidance Bureau=TUGB)と呼称されている。 北朝鮮軍の中では、最も精鋭と認められているものだ。 この軍団は、3個の軽歩兵旅団、3個の狙撃旅団、4個の空挺旅団から構成されている。 軍団隷下の軽歩兵旅団と狙撃旅団は歩兵として、空挺旅団は落下傘降下による空挺作戦やヘリボーン作戦を実施する特殊作戦部隊である。 旅団編成ではあるが、中隊・小隊規模で運用される場合が多い。 米軍のグリーンベレー、ロシア軍のスペツナズと呼ばれる部隊に比較的に似た運用をされる。 北朝鮮特殊部隊「軽歩兵教導指導局(第11軍団)とその隷下旅団」の編成 この中からどの部隊が派遣されているのだろうか。 指揮運用や戦闘後の損害のことを考えると、一つのシナリオは軽歩兵旅団1個、狙撃旅団1個および空挺旅団1個の場合、もう一つは、各旅団から1個大隊を合計10個大隊の派遣という可能性がある。 なぜこの部隊が選定されたのか。 北朝鮮地上軍には、地域を担任する軍団(12個軍団)、装甲車や戦車などの部隊からなる機械化軍団(4個軍団)・戦車軍団(1個軍団)、特殊作戦部隊の軽歩兵指導局(1個軍団)がある。 地域を担任する軍団は担任区域の防衛にあたり、機械化軍団等は装甲車や戦車主体の部隊であり、攻撃時の突破作戦に使用される。 地域を担任する軍団は韓国からの防衛に必要不可欠な部隊なので、部隊を引き抜くことは難しい。 装甲車を主体とする機械化軍団等は、ロシア軍との共同連携が難しい。 軽歩兵教導指導局は、地域を担任している部隊ではなく、予備的な部隊でもある。軍の中では体力的に精鋭であり、ロシアに派遣しても恥ずかしくはない。 歩兵戦闘に最適であり、小隊・中隊規模でロシア軍に編入されて、その部隊ごとに担任地域を割り当てられて、運用されることに適している。