<独占インタビュー・下>オコエが描く将来 「イチローさんにはなれない」
楽天のドラフト1位、オコエ瑠偉外野手(18)の独占インタビューの続編。ノーステップ打法のできる器用さがあるのだから、ロッテの角中や清田、広島の鈴木誠のように、カウント次第ではノーステップ打法を採用してみればどうか? と聞くと、オコエは「小さくなりたくない」と激しく拒否した。 ――小さくなりたくない? 右打ちからセンター返しの打撃も目につくがコンパクトを心がけているのでは? 「ぜんぜんですよ。逆に心がけているのは、振り切ることです。高校時代は当てにいくバッティングが多かったんですが、今は空振りしてもいいから真っ直ぐに張っていて変化球が来ても、振り切ること。フルスイングを心がけています。ただ、タイミングのあっているスイングがファウルになるうちは、ホームランは打てないなと思っています」 ――打ち損じている? 「ボールの速さにはタイミングが合っても、バットがいい角度でボールに入らずにズレて捉えきれていません。日ハムの中田翔さんは、2-0という真っ直ぐの確率が高いカウントから、それを狙い打ってミスショットすることなく“どかん”です。『そりゃそうだろうな』というバッティングなんですが、そこで中田さんのようにボールを捉えることができなければ、1軍のレギュラーとは言えません」 ――ヘッドスピードが足りないのか? 「いえ、ボールを確実にとらえる技術です。今ホームランを打てるか? と聞かれれば、まだ打てません。とにかく今年は、打率2割を切らないように頑張らないと。ホームランはヒットの延長です。振り切っていく中で打てれば最高ですが、今、意識するのはヒットです」 ――バッティングは、パワーか、タイミングか? 「シーズン中は、高校時代もウエイトトレーニングはしていません。でもオフに入ると、ちょっと太るくらいに体重を増やして筋肉量を落とさずに脂肪を落としていくんです。でも正直、シーズン中にはパワーは増やせません。高校時代と違って、毎日試合を行うわけですから、パワーを落とさない中で、技術、タイミングを磨いています。試合前の練習も、ただの調整ではなく、技術アップという向上心をもって取り組んでいます」 インタビュー時にオコエはまだプロ初本塁打を打ってはいなかった。それが、わずか3日後の18日の横浜DeNA戦で「今の僕ではまだ打てない」と語っていたホームランを同じくドラフト1位の今永昇太から記録してしまうのだから、オコエ自身が把握できないほど進化のスピードは激しい。28試合、72打席目のアーチだ。