<独占インタビュー・下>オコエが描く将来 「イチローさんにはなれない」
――自分がプロになったことを実感する機会はある? 「えーーわかんないなあ。高校に入って『ああ、高校生になった』と思うことってあんまりなくないっすか?」 ――でもプロは仕事。高校生とは違うでしょ? 「確かに(笑)。これで、お金をもらえている。考えるとレベルがあがった。一番好きなものでお金をもらえるのはありがたいなとは思いますね」 ――プロとしての哲学は? 「どんな状況に置かれても明るいってことですかねえ。マイペースというか。例えば、打てなくとも、ゲームに貢献できなくとも、気持ちを切り替えて前を向く。そこには自信があります。例えば、(メディアに)叩かれたとしても、『どうぞ、どうぞ。やるのはオレなんだから』という気持ちの持ちようでいることですね。キャンプの初日に打球が前に飛ばなかったことを色々と記事に書かれましたが、あまり気にしてなかったんです。ずっと野球をやっていなかったので、前に飛ばないのは当たり前ですからね」 いつも明るく。 オコエの太陽のような人をひきつけるオーラの原点は、この心の置き方にあったのだ。 ――1軍でプレーする中で、将来のビジョンがおぼろげに見えてきたのでは? 「えーー。まったくわかんないですね。先のことは考えない、いや将来のことは考えられない。そのときそのとき、今、目の前の課題をこなすことに必死なんです」 ――ドラフト時には、走は巨人の鈴木尚広、打はヤクルトの山田哲人、守備は元日ハムの新庄剛志、そして総合では、イチロー、メジャーのトリプルスリー男、ハンリー・ラミレスというような名前を出していたけれど、実際、プロの現実を知った今は? 「まあ、質問が質問だから、そう答えただけですからね(笑)。口だけですよ。ファンがイチローさんのプレーを見て『凄いなあ』と思う。それと一緒の感覚で発言しただけで、イチローさんになろうとしても、なれるものではありません。自分は自分。その人にしかなれないものがあるんです」 ――今、あなたの考える理想のプレーヤー像は? 「欠点がない選手です。走攻守の、どれをとってもレベルが高く、走塁も、バッティングも一流。しかも、守備もうまいと言われる選手ですね。言われるというよりも、そう評価される結果を残したい」 ――ジュニア球宴に推薦されているけれど、本物の球宴を狙っているのでは? 「人気じゃなくて一流の結果で入ってこそのオールスター。僕なんか、まだまだ早いっすよ」 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)