加部究のフットボール見聞録「広島の伝統がブレない理由」
「弱者の論理」を基盤にスタート
プロ1年目ながらA代表に招集された荒木(右端)も広島ユース出身。個を育てる伝統の下でブレイクした代表格のひとりだ。(C)SOCCER DIGEST
効率がしばしば内容を凌駕してしまうのがサッカーの特性だ。だから世界中のクラブは、ひとりで難題を解決してくれそうなストライカーに常識外れの値をつける。 だが、広島の城福浩監督が言うように「内容があって初めて結果がある」のも真実だ。なによりそれを如実に物語るのがACLでの中国勢の足跡である。前線に効率の良いストライカーを備えても、逆にターゲットが絞りやすくなり、また得点源にチャンスを供給するのが難しい。 一方川崎は、前出の城福監督の言葉を裏づけるような戦い方で連覇を遂げてきた。だがACL出場権を争う当面のライバル広島との試合は、ここ数年見たことがないほど主導権を明け渡した。警告累積や故障者が重なり「メンバーがぎりぎりで、グラウンドへ出てみて誰ができるのかという状態」(鬼木達監督)だったそうだが、田中碧が先制してからの残り70分間は、ほぼ一貫して広島の時間帯が続いた。通常なら
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